今月初めのブログで、カナダのトルドー首相が辞任を表明したとお伝えしました。
そのブログ記事内でリンクを設定した日経電子版の報道には、後継者候補について次のように書いてありましたが…
現地報道によると、後任候補にはフリーランド氏のほか、アナンド運輸相やシャンパーニュ革新・科学・産業相、ルブラン財務相などの名前が挙がっている。カーニー元カナダ銀行総裁を推す声もある。
(出典:日経電子版「トランプ発言、カナダ揺らす トルドー首相が辞意表明」 2025年1月7日)
この「カーニー元カナダ銀行総裁」が正式に、カナダ自由党党首選への出馬を表明したというニュースが伝えられました。(カナダの与党は自由党ですので、自由党党首に選ばれれば、トルドー首相の後を継ぐことになります)
なぜこの件を本ブログでお伝えするかと申しますと、カーニー氏がサステナビリティ分野で要職を歴任してきた人物だからです。
ざっくりご紹介しますと、こんな感じの経歴をお持ちの人物です。
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2008年:
カナダ銀行総裁に就任
2011年:
金融安定理事会(FSB) 理事長就任
2012年よりイングランド銀行総裁も兼任(これに伴いカナダ銀行総裁を退任)
2015年のスピーチにて「気候変動は金融システムの安定を損ない、金融機関にとって脅威となり得る」と述べる
2015年:
FSBが気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を設置。
カーニー氏はFSB理事長としてTCFD開示義務化を推進*1
2019年:
国連 気候変動対策・ファイナンス担当事務総長特使
2020年にはCOP26に向けたスピーチで「TCFD開示義務化への道筋の提示」を宣言
2021年:
ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)発足とともに共同議長に就任
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日本企業のサステナビリティ担当者様にとっては、「TCFDの生みの親」と申し上げるのが、一番ご納得いただきやすいかもしれません。
党首選は3月9日とので少し先ではありますが、サステナビリティの観点からも注目していきたいと思います。
短いですが、本日はこれにて。
また次回のブログでお目にかかります。
執筆担当:川上 佳子
*1 2020年2月には 「Road to Glasgow」と呼ばれるスピーチで、COP26にむけ、気候変動情報開示義務化の道筋を確約するために当局と取り組んでいくと呼びかけました。
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。