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法定開示化の進展とサステナビリティレポートの今後

開示媒体

7月3日のブログでは、統合報告書について、その内容は将来的に法定開示に取り込まれることになるかもしれないというお話をしました。

では、「法定開示化」が進むなか、サステナビリティレポートはどんな形になっていくのでしょうか。

 

Q: 要するにサステナビリティレポートは残るのか?残らないのか?

いきなり結論から申し上げるようで恐縮ですが、
サステナビリティレポートは、法定開示化が進んだあとも「残る」ことになっています。

…などと書くと、「それはポジショントークだろう」とお叱りを受けてしまいそうなのですが、すみません、そうではないのです。

「統合報告書は将来、法定開示に取り込まれるかも」と以前書いたときに根拠としてお示しした資料(*1)では、法定開示化の2形態(*2)のいずれにおいても、「サステナビリティレポート等」の文字が残っているのです。

 

Q:  サステナビリティレポート等が残るなら、それはどんな形か?

上記の資料では、「サステナビリティレポート等」について、

- 詳細なデータ集   (※イメージ案1)
- 詳細な補完データ集 (※イメージ案2)

と補記されています。

いずれの場合も「データ集」という形が想定されているようですね。

 

Q: サステナビリティレポート等が残る理由は?

上記資料のp12を読むと、「イメージ案2」に関する説明のなかに次のような文章があります。

任意開示書類については、上記法定開示書類を要約・抽出する形で作ることが可能となるだろう。ただし、サステナビリティ関連情報については、ESG評価機関への対応等により、更に詳細な補完データが必要な可能性もあることから、別冊のサステナビリティデータ集の作成や、ウェブサイトの整備等が必要になることも考えられる。

 

「ESG評価機関への対応等」が理由になっていることからわかるように、少なくとも当面は、法定開示に取り込まれるサステナビリティ関連情報だけではESG評価機関や投資家のニーズに応えきれないこと、それが、サステナビリティレポート等が今後も必要であり続ける理由と考えてよいでしょう。

 

<補足説明>
ご承知のように、日本のSSBJ基準はISSB基準にもとづいて作成していることから、2024年7月時点の案では、気候基準以外のテーマ別基準(案)はできあがっていません(*3)。

ISSBは2024年4月、今後2年間で主に取り組むテーマ(「生物多様性・生態系および生態系サービス(BEES)」と「人的資本」)を発表しましたが、これが今後、順次基準化されるとしても日本のSSBJ基準に加わるまでにはさらに時間を要します。

また、ISSBの上記テーマには、たとえば「人権」などの投資家やESG評価機関の関心が高いテーマが入っていない(*4)ことから、企業さまにおいては当面、法定開示以外に、サステナビリティレポート等を活用した任意開示を行っていく必要があると考えられます。

 

では、上記を踏まえたサステナビリティレポート、あるいはサステナビリティ「データ集」とはどんなものなのかについては、今後、企業さまの開示資料を読み解きながら、ご一緒に考えていきたいと思います。

 

本日もここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで!

 

執筆担当:川上 佳子


*1:
経済産業省 企業会計室が事務局をつとめる「企業情報開示のあり方に関する懇談会 *1」が6月25日に発表した資料「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」です。(資料の入手はこちら

*2:
ひとつは、任意開示としての統合報告書を維持する形。(= イメージ案1)
もうひとつは、統合報告書の内容を法定開示に取り込んでしまう形です。(=イメージ案2)
詳しくは「中間報告」 p10~12 をご参照ください。

*3:
ここではテーマ別基準(一般基準)のことは考えないものとします。

*4:
詳細は2024年4月23日付のSSBJ下記リリースをご参照ください。
ISSBが自然及び人的資本に関連するリスク及び機会に関するリサーチ・プロジェクトを開始

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執筆者

  • 代表取締役 福島 隆史

    公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。

  • 川上 佳子

    中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。