先日、当ブログで、GX率先実行宣言に「プラチナグレード」を導入する案をご紹介しました。
企業がGX製品を「買う」と名乗るだけでなく、その調達目標がどれほど需要創出に貢献するかを「測られる」仕組みに変わる、という内容です。
(ご参考)
GX率先実行宣言に「プラチナグレード」――「名乗る」仕組みが「測られる」仕組みへ動き出す(2026年6月1日)
7月10日に経済産業省が公表した中間とりまとめでは、その物差しが具体化されました。今回新しいのは、プラチナグレードの存在ではありません。「野心的なGX調達」と認められるための合格ラインが、数字として示されたことです。
プラチナの基準は三つあります。原則となるAは、政府や業界が定めた調達目標等と同等以上の目標を掲げることです。例えば、水素やアンモニアは1%、SAFや海運用途の合成燃料は10%などが目安になります。
ただし、すべてのGX製品に政府・業界目標があるわけではありません。そこで代替基準として、BはGX製品の調達による排出削減効果が、関係するScope排出量の1.0%以上、CはGX製品の調達金額が、全社売上原価の0.9%以上と定められました。
重要なのは、A・B・Cが対等ではないことです。原則はあくまでAであり、B・Cは政府や業界の目標がまだない製品に認められる代替ルートです。さらにBとCでは、排出削減との関係を直接測るBが推奨されています。
グリーンスチールなどのB基準では、Scope3カテゴリー1の排出量を分母として、GX製品への置き換えによる削減効果を計算します。C基準では、調達数量と単価、全社売上原価が必要です。
つまり、これまで主に開示や目標管理に使われてきたScope3や財務データが、今後はプラチナ認定やGX関連予算の加点にも使われます。
サステナビリティ部門だけで対応できる制度ではありません。調達部門が数量と単価を把握し、経理部門が売上原価を確認し、事業部門が導入計画を説明する。GX調達が、部門横断の経営課題になるということです。
1.0%と0.9%は、気候科学上の「十分な削減量」を示す数字ではありません。政府・業界目標が存在する九つの製品・用途を試算し、その中央値を基に設定した行政上の目安です。
見直し後の宣言は2026年秋ごろに募集・認定が始まり、年1回のフォローアップも行われます。企業の回答は公表され、未回答や実行しないとの回答があれば、プラチナの取下げや取消しも検討されます。
さらに、半年間の運用後、2027年春ごろに閾値を再検証する予定です。B・Cによる認定ばかりが増えれば、基準が引き上げられる可能性もあります。
GX率先実行宣言は、「名乗る」制度から「測られる」制度へ、さらに「検証され、予算上の評価につながる」制度へ進み始めました。
ーー
今週もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。