早いもので、7月も本日が最終日。
7月1日から開始したこのブログも、本日で(平日)1か月続いたのだなぁ…と少し嬉しくなりました。小さな一歩の積み重ね、これからもがんばります。
さて、本日の内容は、
前回のブログの最後に
「ESG・サステナビリティ」への理解が不足している企業(トップ)であるとの誤解を受けることのないように、との観点をもってメッセージを作成いただくと良いのではないでしょうか
と書いたことに対し、
具体的には何をどう書けばいいの?
との疑問をお持ちになった方へのメッセージです。
回答…とはいかなくとも、ヒントぐらいにはなりそうなお話ができればと思います。
せっかく作ったサステナビリティレポートが読まれないけどどうしたらいいの?読まれるレポートにするには、どんな工夫をすれば?といった悩みを持ったことがある、もしくは現在もお持ちの担当者さまは多いのではないでしょうか。
周りにアドバイスを求めても、
といった答えしか返ってこないようであれば、悩みも深まるばかりですよね。
とはいえ。
特に、このブログを書いている7月末であればきっと、(3月決算企業さまならば)サステナビリティレポートの制作作業が佳境に入っているころと存じます。
そんな「今」からでもできる工夫ってないの?
そうお思いの、サステナビリティ担当者さまへ。
大丈夫です。今からでもできる、簡単な工夫をお伝えします。
ご注目いただきたいのは、冊子冒頭にひっそりと数行掲載されている「編集方針」です。
御社のサステナビリティレポート編集方針では、こんな用語が多用されていませんか?
- (情報を)開示しています
- 説明責任を果たすため
- 取り組みを報告しています/お伝えしています
- コミュニケーションのツールとして
- 理解を深めていただくことを目的に
開示する、説明責任を果たす、取り組みを報告する――これらの表現からは、残念ながら、明確な「目的」が感じられません。(もちろん企業さまとしてはそのようなつもりはないことは承知しておりますが)ややもすると「やらなくてはならないことだから」レポートを作って開示している、といったニュアンスが感じられる表現でもあります。
“コミュニケーションのツールとして”や“理解を深めていただく”は「目的」を示しているじゃないか、とのご指摘を受けそうですが、すみません、これらは、読者がすでに御社に興味を持っている場合には「目的」となり得ますが、そうでない場合には機能しない点に課題があるのではないでしょうか。
勘の鋭い読者さまはすでにお気づきと思いますが、私がここで申し上げたいのは、これらの言葉を「使ってはいけない」ということではございません。
このサステナビリティレポートを、何のために作っているのか
何を伝えたくて、このサステナビリティレポートを作ったのか
が明確になっていないのであれば、そのレポートが「読まれない」のも無理はないのかもしれないということ、そして、その点をチェックする簡単な方法が「編集方針」に使われている言葉を見ることである、とお伝えしたいのです。
では、サステナビリティレポートは「何のために」「何を伝えたくて」作ればよいのでしょうか。
私自身は、サステナビリティレポートを
私たちは信頼に足る者である、ということを
読者に納得していただけるようにお伝えする
媒体だと考えております。
「私たち」とは、当社であり、経営者・経営陣であり、現場ではたらく人々でもあります。
「私たち」がなぜ、社会から、皆さまから信頼していただくに足る者であると言えるのか――その答えをつくるためには、当然ながら、相手が自分たち(=私たち)に対して「何を懸念しているのか」を事前に理解し*1、何を伝えれば納得していただけるかをよく考えなければなりませんよね。
前回、前々回等のブログで、サステナビリティ・トップメッセージで「リスクを踏まえた記述」が必要と申しあげた理由は、ここにも根拠を求めることができます。
もちろん、トップメッセージだけでなく、冊子全体の構成やコンテンツが、必要十分なものとなっているかも重要です。
サステナビリティ担当者さまにはぜひ、「私たちを信頼していただける理由は何か?」を常に問いかけながら、素材や原稿の「編集段階」で磨きをかけていただければと存じます。(応援しております!)
本日も、お読みいただきありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
*1: そのための手段がステークホルダー・エンゲージメントであり、それを踏まえて特定したマテリアリティについて開示・報告するから、サステナビリティレポートがコミュニケーションのツールとなる…と考えております。
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。