昨年、当ブログでも一度ご紹介しておりましたが…
第1回『日経 機関投資家レポートアワード』の結果が、発表されました。
本記事では、このアワードの意義について少し整理してみたいと思います。
これまで、IR活動の評価は企業側の情報開示や株主対応に焦点が当てられることが多かったかと思います。しかし、このアワードは、投資家側のアウトプット、つまりアナリストや機関投資家によるレポートや情報開示の質を評価しています。
これは、(言われてみれば当たり前かもしれませんが)やはり画期的なことだと私は思います。
なお、主な審査基準には以下のような項目が含まれているようです。
■スチュワードシップ責任についての開示
■エンゲージメントの方針や体制、活動、その成果についての開示
■議決権行使の方針や体制、活動、その成果についての開示
■TCFDに関する開示
■インベストメントチェーンに貢献する積極的活動の開示
■自社の特筆すべきと思われている活動の開示
つまり、単なるレポートの完成度ではなく、投資家としての責任ある行動をどれだけ透明性高く、説得力をもって開示しているかが問われているところは、大きな特色と言えそうです。
このアワードのもう一つの意義は、企業のIR部門にとって、機関投資家が自社をどのように捉え、どのように情報発信しているのかを知る貴重なフィードバックの機会となることです。受賞レポートの内容から、投資家が重視している情報や視点を逆照射することができます。
企業にとっては、自社の開示がどこまで的確に伝わっているかを確認し、今後の開示やエンゲージメント戦略に活かすヒントになるのではないでしょうか。
『日経 機関投資家レポートアワード』は、投資家が果たすべきスチュワードシップ責任を「言葉」として可視化し、それを社会が評価するという、非常に意義深い試みです。企業と投資家の双方にとって、透明性と対話の質を高める刺激になることは間違いないでしょう。
企業さまのIR活動をお手伝いする立場にある者として、企業の情報開示だけでなく、読み手側の責任と力量にも目を向ける視点を大切にしていきたいと思います。
(まずは、受賞レポートを読んでみなくては…!)
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短いですが、本日はこれにて。
また次回のブログでお目にかかります。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。