1月27日に、GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」が発表されました。
これまでは3月発表でしたので「あれ?もう発表??」と少し驚きました。
その分(ということなのかはわかりませんが)今年は『GPIF の運用機関が選ぶ「4つの開示項目における優れた開示」*1 』は公開されていないようです(この点は残念ではありますが)。
直近の2025年1月発表分で、「4機関以上の運用機関から高い評価を得た」企業は、下記の通りです。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ … 6機関
- アサヒグループホールディングス … 5機関
- ⽇⽴製作所 … 5機関
- 伊藤忠商事 … 5機関
- 商船三井 … 5機関
おおむね「いつも通り」の企業様が揃っている感じではありますが、個人的には、アサヒグループホールディングスさんだけは「ついに!」という印象がありました。
業界内ではキリンホールディングスさんの開示が圧倒的に高評価!という印象が強かったのですが、改めて3年間の推移をみると、アサヒグループホールディングスさんの評価は徐々に上がっているのですね。
■3年間の推移(数字は得票数)
出典:
2023… GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」2023 年 3 月 24 日発表分
2024… GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」2024年 3 月 22日発表分
2025… GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」2025年 1 月 27日発表分
■「4つの開示項目における優れた開示」の推移
これはアサヒグループホールディングスさんだけでなく、キリンホールディングスさんにも言えることですが… 両社の開示は、TNFDとTCFDを統合しているところが先進的です。
その両者の評価がなぜ分かれたのか、
大変興味深いです。
来月、自分への宿題として読み解いてみたいと思います。
発見があればまたお知らせいたします。
(ご参考:アサヒGHDさんの評価↓)
同社は、ESG のトレンドを踏まえ、いち早く TNFDを TCFD に統合したアプローチを取り入れた企業の一つ。さらに、気候シナリオ分析において、サプライチェーンからの影響の分析を含む包括的な形で、金銭的な影響を開示している。
ほかにも、移行リスクの分析において、炭素税による財務への影響を「-130 ドル(1t 当たり)」という試算値を用いて影響金額を算出。また、スコープ3を含む過去5年間の GHG2排出量を開示してトレンド分析を可能にしている。そのうえで、GHG 削減目標を定量化しており、2025 年まで(短期)と、2030 年まで(中期)のそれぞれについて開示している。
(出典:GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」2025年 1 月 27日発表分)
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それではまた、来月のブログで。
執筆担当:川上 佳子
*1 たとえば2024年3月発表の『GPIF の国内株式運用機関が選ぶ「優れた TCFD 開示」』には下記が載っていました。(①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標)
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。