JPXのホームページで、昨日(1月22日)、英文開示実施状況調査結果の結果が公表されました。
英文開示実施状況調査結果(2024年12月末時点)の公表について
2025年4月以降、決算情報及び適時開示情報で日本語と同時の英文開示が義務化されることを踏まえ、現時点の状況を把握・整理・公表した、といったところでしょうか。
調査結果を見てまず気が付くのは、英文開示実施の浸透状況です。
(以下、プライム市場ベースでお話いたします)
義務化を控え、英文開示実施率は社数ベースで99.0%(前年末比0.8ポイント増)にまで達しています。
英文開示の範囲でみても、決算短信の英文開示実施率は93.8%になっています。
(ちなみにIR説明会資料は76.4%、適時開示資料は59.2%です)
とはいえ、英文開示の「範囲」にはまだ課題があると、東証側では考えているようです。
それを示しているのがこちらのスライドです。
コメントは、こちら。
プライム市場で決算短信の抜粋・一部を英文開示している上場会社において、記載項目別の英文開示実施率は、サマリー情報が97.5%、財務諸表が72.7%となったが、定性情報及び注記事項は約15%に留まる
英文開示範囲(記載項目の組合せ)については、「サマリー情報及び財務諸表」の割合が49.4%で最も高く、「サマリー情報のみ」の24.4%、「サマリー情報、財務諸表及び注記事項」の9.6%が続いた
定性情報や注記事項まで訳している企業は少ない(けど今後は目指してほしい)ということですね…。
全文を英文開示する実施率については、時価総額1,000億円以上の会社では、決算短信で63.4%、IR説明会資料で81.3%、適時開示資料で49.2%となっているが、250億円未満の会社では、それぞれ36.9%、49.2%、18.7%に留まる
英文開示のタイミングについても、調査結果が出ています。
プライム市場では決算短信の英訳は、51.7%が日本語資料と同時(時価総額1,000億円以上の会社に限れば64.5%)になっています。
ただ、資料p25で東証が出しているコメントには
有価証券報告書の同時開示の割合は3.5%に留まった
とあり、
やはり有報の英文開示が望まれているのだとのメッセージを強く感じます。
ちなみに東証のリリースは、以下の文章で締めくくられていました。
プライム市場は、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場という位置付けです。英文開示がグローバルな投資家との対話及び投資判断の基礎となることを踏まえ、義務化への対応にとどまらず、英文開示の対象資料・範囲の拡充、開示タイミングの改善に向けて、積極的な対応が期待されます。
ともあれ、私たちもクライアント企業様の英文開示充実に、一層貢献していきたいと思います。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。