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1月20日になりました。
本日は「大寒」で、あと2週間すれば「立春」――つまり、暦の上では春になるのですね。
そんな本日は、世界に目を向ければ、米国でドナルド・トランプ氏が第47代大統領に就任しトランプ政権が発足します。そしてスイスでは、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会である「ダボス会議」が開幕します。
なんだか、名実ともに「新たな年の幕開け」という気がしてくる週の始まりです。
さて。
WEFは毎年、ダボス会議の直前に「グローバルリスク報告書」を公開しています。
2025年も1月15日に発表されていました。
これに加えて今年は、「仕事の未来レポート」もほぼ同時期に公開されていました。
The Future of Jobs Report 2025
「仕事の未来レポート」は、グローバルリスク報告書に比べるとあまり話題にならないのですが、働く方々にとっては興味深い内容も色々と書かれています。
これまではだいたい1.5~2年に一度の公開で、公開時期は決まっていない印象があったのですが、今回は、ダボス会議のサブテーマのひとつに「人材投資」が挙げられていることもあって、会議前の公開になったものと思われます。
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今回と次回のブログでは、この2つのレポートから興味深いグラフィックを抜粋してご紹介したいと思います。第1回目の今回は、グローバルリスク報告書を採りあげます。
今回のダボス会議のテーマは「インテリジェント時代における連携」です。
テーマ選択の背景について、WEFは次のように説明しています。
価値観をめぐる地経学的分断、地政学的二極化および分裂が、引き続き世界中の国々とコミュニティに影響を及ぼしています。同時に、AIや量子からエネルギー、バイオテクノロジー、ヘルステックに至るまで、相互に接続されたテクノロジーのすべてをめぐる飛躍的イノベーションと展開は、生産性を向上させ、ひいては生活水準を向上させるという前例のない機会を提供しています。より強固かつレジリエンスの高い経済を構築するには、成長の復活と再構築が不可欠です。
こうした強力な力が作用する中、私たちはどのようにすれば「断片化の時代」を回避し、代わりに「インテリジェント時代」に向けた、実現可能かつ人を中心として課題解決に協力し合うことができるのでしょうか。また、現在の低成長・高債務のグローバル経済から脱却し、気候変動からAIの倫理的な利用に至るまで、共通の課題に対処するために、どのようにすれば協調的なイノベーションの力を再構築できるのでしょうか。
(出典:WEFホームページ「世界経済フォーラム年次総会2025」概要)
今回のダボス会議がこのように、AIをはじめとするテクノロジーの進化にフォーカスしていることもあってか、グローバルリスク報告書でも「誤報と偽情報」の重要性が強調されているように見えました。
今後2年間で重要なリスクの第1位。10年間でみても第5位と、長く影響し続けると予測されています。
今回のレポートで、私が個人的に注目したのは「相互連関マップ」というビジュアルでした。
どのようなリスクがサステナビリティ課題をより大きなものとしてしまうのか、その関係を見ることができたためです。
さて、この図ですが:
レポートの「Infographics」ページには、日本語訳されていない図がひとつ、載っていました。
この「相互連関マップ」のうち、“誤報と偽情報”がどのようなリスクに影響するのかを切り出した図です。
(元の図では右上の部分に該当します)
“誤報と偽情報”がもたらす影響の中で、特に大きいとされているのは「社会の二極化」で、
そして(元の図に戻ってみると) 社会の二極化は「不平等」に、そして「健康やウェルビーイングの低下」につながるという関係が強調されています。
景気後退や経済的機会の欠如が不平等につながる(元の相互連関マップの下部から中心に向かう)という関係は強く認識しておりましたが、「誤報と偽情報」→「社会の二極化」→「不平等」→「健康やウェルビーイングの低下」の関係は明確に認識できておりませんでしたので、個人的には大変学びがありました。
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それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。