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日本企業に広がるアルムナイ活用を人的資本開示するなら
どんなふうに?を考える

人的資本開示

アルムナイ採用への注目が集まっている?

 

昨年末頃、日本の大企業で「アルムナイ」(退職者ネットワーク)を戦略的に活用する動きが出ているとの記事を立て続けに見ました。

 

マツダ、アルムナイ採用の新サイト 退職者を再雇用(日経電子版、2024年12月11日)

パナHD、退職者が家電開発に協力 そんたくない意見反映(日経電子版、2024年12月17日)

九州電力、退職者限定のSNS開設 交流維持で再雇用も(日経電子版、2024年12月24日)

 

そういえば、住友金属鉱山さんは退職者だけでなく、内定辞退者も対象にした「アルムナイ採用」を開始したとリリースされていましたね。

従来は「過去の人」と見なされがちだった退職者を、今、企業の新たな資産として再評価する取り組みが加速している様子がうかがえます。

これって、統合報告書やサステナビリティサイト/レポートで開示するならどんなふうに書くんだろう?ということがちょっと気になったので、少し考えてみました。

 

アルムナイ活用をレポート等で開示するならどう書く?

 

単なる活動内容の紹介にとどまらず、「企業価値向上」や「社会的価値創出」という視点から示すことが重要だと思います。たとえば、こんな感じでしょうか。

1. 開示の方向性

■人的資本を充実させる観点での開示

再雇用実績と効果

  • 「アルムナイ再雇用により、〇名の人材が現場復帰し、新規事業や製品開発に貢献」などの記載
  • 再雇用者がどのように業務で即戦力となったかのエピソードを示し、組織の柔軟性やコスト削減効果も記載する

 

リスキリング・キャリア支援

  • 「アルムナイ向けリスキリング支援プログラムを通じ、〇名が業界横断的なスキルを習得」などの記載
  • 社員とアルムナイ双方へのキャリア成長支援の取り組みを共有し、人的資本への投資として説明
■社会関係資本としての「アルムナイネットワーク」を説明

ネットワーク規模と活動実績

  • 「アルムナイネットワーク登録者数:〇名、年間イベント実施回数:〇回」
  • 活動を通じて得られた具体的な成果や、退職後のアルムナイのキャリア事例など

 

外部パートナーシップの創出

  • 「アルムナイを通じた新規取引先・パートナーシップの創出:〇件」
  • 社会とのつながりを通じた新たなビジネス機会の発掘や、協業の成果を説明

 

地域貢献・社会価値創出

  • アルムナイが他地域や他業界で活動することで得た知見を、CSR活動や地域支援に反映する事例を示す

 

2. 開示指標

アルムナイ活用の取り組みを人的資本開示に採り入れる場合、KPI(重要業績指標)を何にするべきか?が課題になると思います。KPIの例を少し作ってみました。

KPIの例

  • アルムナイ再雇用者数・率
  • アルムナイネットワーク参加者数
  • アルムナイが関与したプロジェクト数・成果
  • アルムナイ支援プログラムへの参加率

 

3. ストーリーテリングの例

読み手の共感を得る上では、「人」の視点を重視したストーリーテリングが効果的です。たとえばこんな書き方があり得るのではないでしょうか。

  • アルムナイの声… 退職後のキャリアや、古巣との協働に至る過程、企業の支援について具体的に紹介
  • 社員やマネジメント層の声…アルムナイ活用が企業文化や事業成長にどう貢献したかを語る

 

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ちょっとした頭の体操レベルで恐縮ですが、何らかのご参考になりましたら幸いです。

今後、こういった開示の動きが出るかどうか、私も関心を持ってみていきたいと思います。

 

それではまた、次回のブログで。

執筆担当:川上 佳子

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