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【ニュース走り書き】カリフォルニアの山火事問題が
ESG批判にすり替わってきているようです

ニュース

カリフォルニアの山火事発生から1週間

1月7日に発生した米国カリフォルニア州・ロサンゼルスの西部の山火事が、1週間後の現在も続いており…非常に心配な状況です。

いまはとにかく被災された方々のことを思い、救援に努めるべき時と思うのですが…
アメリカではトランプ次期大統領をはじめとする保守派からカリフォルニア州の政治への批判の声があがっているとの報道も続いています。

 

ロサンゼルス山火事、トランプ氏からの批判に州知事苦慮(日経電子版、2025年1月13日)

 

そしてその内容がESG批判の色合いを濃くしていること、そしてその批判内容には正しくない内容も多く含まれているため、ついにカリフォルニア州がファクトチェック結果をホームページに掲載しました。

サステナビリティの観点からもリスクマネジメント上も見逃せないニュースだと思いますので、以下に取り急ぎ、このファクトチェック声明を取り急ぎ翻訳して掲載いたしました(翻訳に誤りがある場合は筆者の個人の責任です)。

なお、より正確な理解にあたっては、下記ページより原文をご参照いただけますようお願いいたします。

California Fire Facts

 

「カリフォルニア州の火災に関する事実」の翻訳を掲載します

■嘘 – カリフォルニア州は消防予算を削減した
  • 事実: CalFIRE(カリフォルニア州森林防火局)の人員数は2019年からほぼ倍増した(5,829人から10,741人へ)
  • 事実: CalFIREの予算は2019年からほぼ倍増した(20億ドルから38億ドルへ)
■嘘 – これらの山火事はカリフォルニア州の森林管理の不備が原因である
  • 事実: 森林管理(いわゆる「森林を掻き集める作業」)の予算は、ニューサム知事が就任した2018年時点の年額2億ドルから10倍に増加した。州はこれまでに20億ドルを投資しており、年額2億ドルの予算も継続している
  • 事実: カリフォルニア州は、野生地帯や森林の耐災害性を高める取り組みを大幅に拡大し、また、山火事への対応を支援するためにこれまでにないリソースを追加した。2023年には70万エーカー以上の土地が耐火性向上のために処理され、2021年から2023年の間に計画的な焼却が2倍以上に増加した
■嘘 – ニューサム知事は開発業者と協力して、火災が発生した地域で「大量のアパート」を建設するために区画整理を変更している
  • 事実: そのような計画はない
■嘘 – カリフォルニア州のスマルト魚保護政策が南カリフォルニアの山火事を引き起こした
  • 事実: そのような関連性を指摘することは不条理だ。この政策は南カリフォルニアの水の供給量に関するものではない
  • 事実: 現在、南カリフォルニアには水不足はない。オレンジ郡水道地区は、250万人の顧客に対して3~5年間の干ばつにも対応可能な供給量を確保している。また、南カリフォルニア大都市圏水道局には記録的な貯水量(380万エーカー分)があり、これは年間4,000万人分の水を供給するのに十分な量だ
■嘘 – カリフォルニア州は水が枯渇し、貯水池が空になった
  • 事実: 南カリフォルニアの貯水池は記録的な水準に達しており、水不足はない
■嘘 – 南カリフォルニアの貯水池は15~20年間干上がっている
  • 事実: 現在、南カリフォルニアには水不足はない。すべての州の貯水池は満水状態で、水は利用可能だ
■嘘 – オレゴン州からの60台の消防車が「排ガス検査」のためにサクラメントで足止めされている
  • 事実: 州外の消防車両は、装備の安全性を確認するために15分の点検を受けるだけ。元の投稿時点で、オレゴン州の消防チームはすでにロサンゼルス地域で火災と戦ってくれていた
■嘘 – 消防士が女性のハンドバッグを使って火災と戦っている
  • 事実: LAFD(ロサンゼルス消防局)は、小規模なゴミ火災を消火する際にキャンバス製のバッグを使用している。長いホースを使うよりも効率的であるためだ
■嘘 – ハリウッドサインが燃えている
  • 事実: 燃えてなどいない
■嘘 – LAFDは装備が不足しており、山火事消火のため一般市民に協力を求めている
  • 事実: カリフォルニア州には15,000人以上の消防・公共安全職員が現場で火災と戦い、影響を受けた地域を安全に保っている。一般市民の募集は行っていない
■嘘 – ある火災は「サタンの儀式」と関連があり、「ホラームービーに出てきそうな赤い屋根の不気味な館」に由来している
  • 事実: 公安当局は放火の可能性について積極的に捜査を行っているが、サタンの儀式による火災は発生していない

 

カリフォルニア州が山火事に対応するために動員しているリソース

緊急対応要員: 10,170名
- CalFIRE: 3,780名
- OES(緊急事態サービス局): 2,638名
- Caltrans: 1,445名
- CDCR(矯正およびリハビリ局): 871名
- CHP(カリフォルニア州高速道路パトロール): 836名
- 州兵: 855名(ロサンゼルス郡に400名の軍警)

消防車両: 1,059台
給水車(タンクローリー): 143台
ブルドーザー: 116台
ヘリコプター: 52機
エアタンク: 9機

最新の状況については、CA.Gov/LAFiresをご覧ください。

 

メタはファクトチェックを中止

奇しくもカリフォルニアで山火事が発生した日と同じ1月7日、フェイスブックやインスタグラムを運営する米国のメタは投稿の信頼性を第三者が評価するファクトチェック機能を米国で終了すると発表しました。

 

メタがファクトチェック廃止 トランプ氏接近へ方針転換 (日経電子版、2025年1月8日)

 

「コミュニティノート」という別機能は実装されるものの、今回のような状況を見ると心配な方針転換ではあります。

 

総務省は偽・誤情報対策で新たな検討会を立ち上げ済み

ちなみに日本では、総務省が昨年、インターネット上の偽・誤情報対策に関して新たな有識者会議を立ち上げており、法改正を含めた制度対応や、ネット広告問題に関する検討を進めることとなっています。

 

デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会

 

ネット広告については多くの企業様にも関係があるテーマですし、CSRD/ESRS等のサステナビリティ開示上もテーマになってくる部分ですので、今後の法改正等、動向を注視していきたいと思います。

 

 

それではまた、次回のブログで。

執筆担当:川上 佳子

 

ご参考:
カリフォルニアがなぜ気候変動対策に力を入れているのか、その背景を理解する上で役立ちそうな記事のひとつがこちらです。

豪雨による洪水から容赦ない山火事まで、米カリフォルニア州が災害の中心地となる理由(CNN, 2025年1月10日)

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