今日、2024年12月26日は一粒万倍日と天赦日が重なる、まさに最強のラッキーデーです。この日は、何かを始めるのに最適と言われていますが、スタートのための準備として整理整頓や断捨離に励むのも良いのだそうです。
年末ということもあり、皆さまもまさに今「断捨離」をテーマに、ご自宅や職場の片づけに取り組んでおられるかもしれませんので、良いタイミングのラッキーデーになりましたね!
さて。
断捨離とは、不要なものを手放し、本当に大切なものだけを残すことで心も空間もすっきりさせるという考え方です。
では、このような断捨離の考え方が企業の「価値創造ストーリー」にも応用できるとしたらどうでしょう?
多くの企業さまが今、お悩みの“価値創造ストーリーどう作るか問題”や“自社の価値が資本市場に伝わらない問題”も、「断捨離」をキーワードにすることで、驚くほどスッキリ解決できるかもしれない――本日はそんなお話をしてみたいと思います。
自社の価値が資本市場に正しく伝わっていないようだ――というお悩みはよく耳にします。企業様として好業績をあげているにもかかわらず、市場や投資家からの評価が十分に得られないのであればなおさら納得がいかず、担当者さまとしても忸怩たる思いをしておられるのではないでしょうか。
本日(12月26日)の日経電子版では、マテハン(マテリアルハンドリング)機器の世界大手であるダイフク社(以下、ダイフク)が、まさにこの問題に直面していることが報じられていました。
ダイフク、不足するわくわく感 市場に届かぬ成長物語(2024年12月26日)
同社の業績は順調、利益も過去最高を更新中にもかかわらず、株価はピーク時より大きく下落しています。記事によれば、その理由として指摘されているのが成長ストーリーなのだとか。
「投資家をわくわくさせる成長ストーリーが欲しい」。アセットマネジメントOneの池田研亮ファンドマネジャーは上値を追う条件をこう説く。
(中略)
「成長の物語が信じてもらえていない」。日比徹也・最高財務責任者(CFO)は悩む。
私、個人的にはダイフクの成長性に注目しておりますので、この記事を読んで「本当にそんなに伝わらないのかな?」と不思議に思ったのです。
そこで、最新の統合報告書を読んでみることにしました。
…ああ、なるほど… 確かにちょっと伝わりづらいかもしれません。
企業の成長ストーリーは、ざっくり言えば次の3つの要素で説明できるのですが、
(1) 到達点(どこを目指しているのか?目指した先に何があるのか?(社会、自社ともに)
(2) 出発点(現在はどのような状況?どんな強みや資本を持っている?)
(3) (2)→(1)はなぜ実現可能と言えるか?(根拠は?超えるべき課題は?)
ダイフクさんの問題点は、(1)と(2)の説明が両方とも抽象的なため、(3)の説得力も下がってしまっているところにあるのかなと。
詳しくは存じ上げないため、外部からの無責任なコメントで恐縮ですが…一見したところではそんな印象を持ちました。
では、ダイフクの成長ストーリーは、どうすればもっと伝わるのでしょうか。
そのヒントになると私が感じたのは、CEOメッセージ(p.5)に書かれていた、このひとことです。
マテハンの原点は、人を重労働や単純・反復作業から解放することです。
このシンプルで力強い言葉は、ダイフクの価値創造の核を成しています。
実際、同社コミュニケーションサイトにて、この言葉があらわすところを含め、経営理念についてCEOが語った記事の内容は大変魅力的で、共感できるものでした。
価値創造ストーリーを研ぎ澄ます時に必要なものは、ごく身近にあります。
大切なのは、まず自分たちの「原点」に立ち返ること。ダイフクのように、企業が本来大切にしてきた理念や目的を明確にし、それをシンプルに表現すること。
それが、ストーリーに力を与える第一歩となります。
- 「社会にこんな価値を届けたい」という初心
- 「この課題を解決するために設立された」という使命
これらを掘り下げ、シンプルに表現するだけでも、メッセージの芯が強くなります。
原点に立ち返ることが難しいと感じた時には、年末の断捨離と同じアプローチが役立ちます。
断捨離の基本は「不要なものを捨て、本当に大切なものを残す」こと。これを価値創造ストーリーに応用すると、次の3つのステップが見えてきます。
不要な要素をそぎ落とす
→原点を掘り下げてシンプルにする
→未来の姿を具体的に描く
私たちは、企業の成長ストーリーについつい情報や要素を詰め込みすぎてしまいがちです。しかし、それでは伝えたい核が埋もれてしまいます。
大切なのは、何を伝えたいのかを見極め、余分なものを削ぎ落とすことです。価値創造ストーリーを断捨離することで、原点と未来像がクリアに浮かび上がり、読者や市場に響くメッセージが生まれます。
この年末、新しい年を迎える準備として断捨離をしながら、ご自身の周りの環境も、そして貴社の成長ストーリーも「研ぎ澄まし」てみませんか?
きっと、新たな年に希望をもって漕ぎ出す大きな助けになると思います。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。