気が付けば、今週で11月も終わりですね。
来週からは12月。年が明ければまもなく、2025年3月末にはSSBJ確定基準が公表される…となると、なんだかそわそわしてしまいます。
ということで。
年末年始、(SSBJ基準の元になる)「IFRS S1」についてしっかり理解を固めて際に役立つ資料が発表されていますので、ご紹介いたします。
ISSBは11月19日、「企業がサステナビリティに関するリスクと機会、および提供すべきマテリアルな情報を特定する」(identify sustainability-related risks and opportunities and material information to provide)上で手助けとなるガイド(以下、本ガイド)を発行しました。
Sustainability-related risks and opportunities and the disclosure of material information
本ガイド発行の目的は、
A key focus of the guide is helping companies understand how the concept of sustainability-related risks and opportunities is described in IFRS S1 General Requirements for Disclosure of Sustainability-related Financial Information, including how these can arise from a company’s dependencies and impacts.
(企業のサステナビリティに関連するリスクと機会の概念が、IFRS S1「持続可能性に関連する財務情報の開示に関する一般要求事項」でどのように説明されているかを企業が理解できるよう支援すること)
(出典:IFRSホームページ。日本語は筆者による仮訳)
とのことで、ISSBが現在進めている「S1・S2の浸透」に向けた取り組みの一環のようです。
本ガイドは3つの章で構成されています。
(以下、日本語は筆者による仮訳)
本ガイドには、相互運用性(インターオペラビリティ)に配慮した「コラム」もふんだんに盛り込まれています。
たとえば、「マテリアリティ」という言葉の使い方について、ESRSとISSBでは異なっていることをご存じでしたか…?
本ガイドp.6のコラムには、この部分が明確に説明されていました。
The use of the word ‘materiality’ in ISSB Standards differs from its use in some other sustainability standards. For example, ESRS use the term materiality to both identify the ‘material’ matters and their related impacts, risks and opportunities to report on and to assess the ‘materiality of information’ disclosed on those matters.
(「マテリアリティ」という言葉の使用は、ISSB基準と他のいくつかのサステナビリティ基準では異なっている。例えば、ESRSでは「マテリアリティ」という用語を使用して、「マテリアル(重要)」な事項とそれらの関連する影響、リスク、機会を特定し、それらの事項について開示された「情報のマテリアリティ」を報告し評価している)
However, when applying ISSB Standards, assessments of material information—and more particularly the application of the ISSB definition of materiality—are only applied to determine what information to provide about a sustainability-related risk or opportunity.
(しかし、ISSB基準を適用する際には、マテリアルな情報の評価、さらに詳しく言えば、ISSBのマテリアリティの定義の適用は、サステナビリティ関連のリスクや機会についてどのような情報を提供すべきかを決定する際にのみ適用される)
(出典:本ガイドp.6。日本語は筆者による仮訳)
こういった内容が書かれている「相互運用性(インターオペラビリティ)」コラムだけでも読む価値がありますが、それ以外にも役立つ情報が満載です。
年末年始、お時間があるときにでもチャレンジされてはいかがでしょうか。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。