企業内では法務など限られた部門で担当されていることも多い、コーポレート・ガバナンス。サステナビリティ担当者さまにとっては、親しみを持ちにくい分野のひとつかもしれません。
そこで今回は、
- 他社のコーポレート・ガバナンスの取り組み状況を概観したい
- なぜそのような取り組みがされているのか、背景を知りたい
- 「書きぶり」を考えるヒントが欲しい
などのニーズをお持ちのご担当者さまに役立ちそうな資料を2つ、ご紹介します。
森・濱田松本法律事務所が出しているこちらの本は、TOPIX100を構成する日本企業100社のコーポレート・ガバナンスへの取り組み状況を集計し、グラフと簡潔な説明文でまとめた本です。
集計時点は「原則として2022年7月時点の公表情報」となっていますので、約2年前と少し古いですが、まずはこの本で全体像をつかんだ上で、より新しい状況については、2023年12月に刊行された「日本のトップ100社のコーポレート・ガバナンス 2024」で補うなどされると良いかもしれません。
「図解分析 日本のトップ100社のコーポレート・ガバナンス」は、個人的に、第2章「取締役会」がおすすめだと思いました。たとえば、
Q1:取締役会の人数は? (最大値・最小値・中央値はどのぐらい?)
Q2:社外取締役の人数は?割合は?(最大値・最小値・中央値はどのぐらい?)
Q3:取締役会の議長は誰が多い?
Q4:取締役会の開催回数は?(最大値・最小値・中央値はどのぐらい?)
などの答えを一気に知ることができたのは、私にとっては収穫でしたので。
(これらの「目安」がわかっていると、原稿の書きぶりも変わってきます)
※ちなみに、この本によれば、上のQに対する答えは以下のようになっていました。
A1: 中央値は、11人(最大:17人、最小:5人)
A2: 人数の中央値は、5人 (最大:11人、最小:2人)。
割合の中央値は、45.5% (最大:83.3%、最小:22.2%)
A3: 第1位:会長(社長を兼任している場合を除く) … 47社
第2位:社長 …29社
第3位:社外取締役 …20社
A4: 中央値は、13回 (最大:27回、最小:7回)
東京証券取引所(東証)が、コーポレート・ガバナンスに関する報告書のデータを集計するなどして、まとめている資料です。
隔年発行ですので、現時点(=2024年7月時点)ではちょっとデータが古いのですが、対象企業が500社と上記の資料よりも広いところや、項目の多さ、そしてコーポレートガバナンスコードに基づいた企業の取り組みについての緻密な数値データを見るならこの資料の右に出るものはなく、とても有用です。
まずはp7~の図表(全部で140点あります)の目次だけでもご覧いただければ、きっとご関心のある内容が見つかるのではと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。