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HINTサステナ情報のヒント

大きな声では言えないけれど、企業が人権問題に
取り組まなければならない理由が実はよくわかっていない方へ。
おすすめの本、見つけました

おすすめの本 / 人権 / 勉強用(初学者様向け)

最近出版されたばかりの本ですが、

「人」から考える「ビジネスと人権」(湯川雄介著、有斐閣、2024年10月)

企業のサステナビリティ担当者さまに、ぜひおすすめしたいと思いましたので、ご紹介させてください。

 

ブログタイトルには、

  • 企業が人権問題に取り組まなければならない理由が実はよくわかっていない方へ

 

と書きましたが、それ以外のさまざまなお悩みにも聞くと思います。

 

「ビジネスと人権」はじめの一冊に最適かも

 

たとえば、

  • これまで受けた「人権研修」にピンとこなかった方
  • 社内で「人権方針」を作ることになったんだけど、何から始めればいいの?とお困りの方
  • 内部通報制度と苦情処理メカニズムってどう違うの?と疑問に思っておられる方
  • ステークホルダーエンゲージメントってどうやるの?誰と話せばいいの?

 

などへの答えがあります。

著者の湯川氏は、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士(パートナー),ヤンゴン事務所代表と錚々たる肩書の人物なのですが、

この本はとてもやさしく、読みやすく(ページをめくったときのひらがな比率が高いです)、語り掛けるように書かれています。

 

「ビジネスと人権」はじめの一冊に最適かもしれません。

 

「ビジネスと人権」は知ってるよ!という方にも発見が?

はじめの一冊、と書きましたが、

「ビジネスと人権」については一通り勉強したからわかっているよ!という方にも、新たな発見があるかもしれないと思っております。

 

実は私自身、この本のなかのいくつかの記述にはっとさせられました。

人権尊重はパーパス経営の話でもなければ、ソーシャルビジネスやらインパクト投資やらの話でもありません。

「ビジネスと人権」は、社会全体の貧困問題の解決を求めたり、所得の再分配をせよなどと言っているものではありません。また、資本主義を否定しているわけではなく、むしろ、剥き出しのい資本主義の競争を前提として、その激しさゆえに生じうる人権への悪影響を防ごうという話であると私は理解しています。

(本書pp.254-255より。太字箇所は原著通り)

 

よく考えれば「アタリマエ」のことなのかもしれませんが、かつてこれほど、率直に明言してくれた本やセミナーがあったでしょうか。(私の狭い観測範囲では、見たことがありませんでした)

 

他にも、切れ味鋭い「言い切り」や、興味深いコラムが満載ですので、初学者ではない方にもおすすめしたいと思います。

 

「ビジネスと人権」について「腹落ち感」を得るために

この本の特徴は、ひとことでいうと何だろう?と考えていたところ、

有斐閣の紹介ページに書いてあったことを見て、「ああ、これだ!」と思いました。

「ビジネスと人権」──近時,企業経営上の重要テーマとして認識されてきました。ただ,経営者や担当者の方のなかにはまだ,腹落ち感を得られずに実務に当たっている方もいるのでは? 本書で「ビジネスと人権」の“なぜ”についてイチから考えてみましょう。

 

<本書の特長>
企業が人権尊重をするために「何を」するのか。多くの文献などで解説がなされています。
ただ,それでも「腹落ち感のなさ」が解消されないと感じる人は少なくありません。
それは「何を」するかに先立つ「なぜ」やるのかが,クリアではないからではないでしょうか。

 

「なぜ」についてもう一歩進んで考えると,そこには,

(1)なぜ企業は人権を尊重しなければいけないのかという根本的な問いと,
(2)なぜ人権尊重への取組みに際して求められている行動をとらなければならないのかという技術的な方法論に関する疑問
が含まれます。

本書は,このような「なぜ」に,専門の弁護士が,ミャンマーでの駐在で経験し目の当たりにした実情を踏まえ,真正面から考え,分かりやすい言葉で解説していきます。

(出典:有斐閣ホームページ「「人」から考える「ビジネスと人権」」)

 

 

「ビジネスと人権」は、多くのビジネスパーソンにとって、(重要だと頭ではわかっていても)「「腹落ち感」がないことが、取り組みを難しくしている問題だと思います。

 

そのもやもやした部分に躊躇なく手を差し入れて、ガッとつかんで腹落ちまでもっていってくれる、そんな一冊だと私は感じました。

 

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お読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

執筆担当:川上 佳子

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