サステナビリティレポートや統合報告書の制作にあたり、担当者さまが苦労されることはさまざまありますが、その大きなひとつは、原稿の依頼や内容確認などを行う相手(=関係部署)の多さではないかと思っています。
開示範囲やテーマが近年、どんどん広がっていることもあり、関連部署さまとのやりとりや各種調整等に担当者さまはいつも多大な労力を使っておられると感じます。
(いつも本当にお疲れさまです…!)
さて。
このように社内調整には慣れていらっしゃる制作担当者さまでも、(内心では)あまりさわりたくないなぁ、ちょっと苦手だなぁと感じておられることが多いのが、CFOメッセージや財務・業績関連の原稿ではないでしょうか。
あくまで私個人の印象ですが、財務/経理部門から渡された原稿は「完成形」であり、何かを付け加えたり、修正を(依頼)したりはできない…とお考えになる方が多いような印象を受けております。
とはいえ。
サステナビリティ開示の利用者として、ESG評価/格付機関や投資家の占める割合がどんどん大きくなっていることや、今後、サステナビリティの推進と開示においてもCFOの役割が大きくなっていくであろうことを考えると、
サステナビリティレポートの担当者さまにとっても、財務・経理部門との連携は今後ますます重要になっていくと言えそうです(もちろん、逆もしかりなのですが)。
そんな来るべき「財務・経理との連携」に備えて、今年こそは、財務や業績関連の原稿を読めるようになりたい、直せるようになりたい!とお考えの担当者さまに、ぜひおすすめしたい本があります。
井川 智洋・児玉 高直・杉渕 均 著「海外投資家ニーズを押さえた英文開示のあり方・作り方」(中央経済グループパブリッシング、2023年)です。
日本企業の決算短信や有価証券報告書には「定型文が多すぎる」という指摘(p.90~)にはじまり、まさに快刀乱麻の勢いで「定型文」だらけの短信or有報の記述にツッコミが入れられていますので、「なるほど、投資家から見ると企業の開示はこう見えているのか」と目からうろこ!な体験ができるかもしれません。
p.91~92には、「実際の決算短信をもとに意味が変わらない程度に修正した」記述が載っています。この文章のどこがダメなのか??ツッコミを入れるべき場所はどこ?と、ページをめくる前に少し考えてみると、一層おもしろいのではと存じます。
よろしければぜひ、お試しください。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。