昨日(10月15日)、経団連および経団連自然保護協議会から「企業の生物多様性への取組に関するアンケート調査概要<2023年度調査>」が発表されました。
※調査概要はこちらより
私もまだ中身を十分に拝見することができていないのですが(すみません)、取り急ぎ、掲載のお知らせをしようと、このブログを書いております。
ところで、この調査結果って、去年は12月末に公表されていたはずだよなあという記憶がありまして。
今年はずいぶん早いのではないか…?と思って調べてみましたら、やはりそうでした。
経団連は昨年末(2023年12月)に「経団連生物多様性宣言・行動指針」を改訂しており、今年(2024年)1月にはこの「改定版生物多様性宣言により、さらなる啓発活動を展開する」と発表されていますので、その関係もあるのかもしれませんね。
今回の調査結果の概要として、経団連が発表したのは下記4点でした。
(1)「生物多様性の主流化」が、2022年度調査時よりもさらに多くの企業で進んでいる。
(2)GBFに貢献する各社の多様な取組があり、質的な充実もみられる。
(3)TNFDへの対応を進める企業が大幅に増加、自然関連リスク・機会の特定も進んでいる。
(4)経営面において生物多様性への取組が重視されつつある中、取組に当たっての技術面での課題が
顕在化している状況がみてとれる。
と、ここだけ読むと、おお、かなり進んでいる…!という感じがするのですが。
ただこの文言って、実は、前年*2の調査結果概要に書かれていた内容とあまり変わらない感じなのですよね… 果たして実態としてどのぐらい変わっているのか、気を付けて見比べたいと思います。
(2022年度調査結果概要のポイントは下記のとおりです)
(1) 2019年度調査と比べ、より多くの企業で「生物多様性の主流化」が進んでいる。
(2) 既に多くの企業で、GBFに貢献する活動が進められている。
(3) TNFDへの対応に関し、多くの企業がLEAPアプローチの初期段階を行うにとどまっているが、さらに進んだ取り組みを行っている企業も複数存在している。
(4) 経営面において生物多様性への取組が重視されつつある中、取組みに当たっての技術面での課題が顕在化している状況がみてとれる。
ところで。
経団連自然保護協議会のホームページに掲載されている前年度(2022年度)の調査結果を見ていたら、
という資料が載っていることに気が付きました。
2023年度調査分も、今後掲載されるのでしょうか。
さて。
生物多様性への取り組み事例といえば、今年(2024年)1月、日本総研さんから面白いオピニオンが出ていましたことを思い出しました。
(前略)経団連会員企業においては「生物多様性の主流化」が進んでいると評価している。
生物多様性に関する取り組みには地域性や状況に応じた対応が必要とされ、たとえアカデミアであっても分かりやすい「正解」を示すことは難しい。
分かりやすい「正解」と異なり、「不正解」の事例を確認することは過去の蓄積から比較的容易であるという点に着目し、日本総研では生物多様性分野のアカデミアが「不正解」、言い換えれば取り組みとして「不適切」と評した事例のデータベース化を進めている。これは、「不正解」の事例を通じた生物多様性の理解促進が、企業による望ましい取り組みにつながると効果を期待したものだ。
(出典:日本総研ホームページ 経営コラム 古賀啓一著 2024年1月30日「企業と生物多様性の関係構築にむけた補助線」)
なんと!日本総研さんでは、不正解の事例集を収集されているそうで…これは今、どうなっているのでしょうか。とても興味があります。
ちなみにこのオピニオンには、(「不正解」の事例の中から)「2024年度に注目すべきテーマの一部」も紹介されていましたので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
*1 調査期間:2024年3月~6月
調査期間:2023年2月~4月
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。