2025年4月からプライム市場上場企業は、決算情報および適時開示情報の英文開示が義務化*1される――ということは、皆さま、すでにご承知でいらっしゃると思います。
さて。
実務を担当される方にとっての大きな問題はこの「決算情報および適時開示情報」がどこまでの内容を含むのか、あるいはその訂正が生じた場合にはどうすべきか、などの細かな点ですよね。
こうした疑問に答える資料として、東証は「よくある質問と回答」を用意しているのですが、これが、昨日(10月7日)に更新されていましたので、取り急ぎお伝えします。
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今回、新規もしくは更新で追加された内容は下記の通りです。
※以下は、東証の資料「プライム市場における英文開示の拡充に関して寄せられた主なご質問と回答
(2024年10月更新版)」の内容を、かいつまんでお伝えするものです。正確な内容については、元の資料をご参照いただけますようお願いいたします。
Q:決算短信と決算説明会資料を日本語で開示しますが、決算短信を先に開示し、後日、決算説明会
資料を開示する予定です。この場合、どのように英文開示を行う必要がありますか。(←新規)
A:
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Q:四半期決算短信について、レビュー報告書受領前に1回目の開示を行い、レビュー報告書受領後
に2回目の開示を行います。1回目の開示については日英同時開示を行いますが、2回目の開示に
ついても英文開示が必要ですか。(←新規)
A:
Q:「日本語による開示の一部・概要のみでも可」とありますが、どの程度の水準まで認められるの
でしょうか。(←更新)
A:
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Q:すべての適時開示について、必ず日英同時開示が求められるのでしょうか。(←更新)
A:
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Q:日本語で「開示事項の経過」や「開示資料の追加」としての適時開示を行います。当初の適時開
示については既に英文開示を行っていますが、その後の経過開示・追加開示についても英文開示が必要ですか。(←新規)
A:
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Q:当社について報道又は噂が流布され、その情報の真偽を明らかにする必要が生じたため、急遽対応し、日本語による開示(以下、開示①)を行いました(日本語による開示が遅延しないよう、日本語による開示を優先したため、英語による同時開示は行えませんでした)。当該案件については、同日中に、取締役会決議を経たうえで、上場会社の決定事実としての開示(以下、開示②)を日英同時に行う予定ですが、開示①についても、事後的に英文開示が必要ですか。(←新規)
A:
Q:日本語の開示資料に誤りがあって訂正を行う場合、英文開示は必要ですか。(←新規)
A:
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Q:日本語の開示資料のPDFに誤りはないものの、添付しているXBRLデータに誤りがあり、数値データ訂正の開示を行います。英文資料はPDFのみを開示しており、誤りはありませんが、当該数値データ訂正についての英文開示は必要ですか。(←新規)
A:
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Q:開示済みの英文資料に誤訳が見つかった場合、訂正開示は必要ですか。(←新規)
A:
Q:決算情報及び適時開示情報の英文開示について、英文開示の参考となるようなフォーマットはあ
りますか。(←更新)
A:
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以上です。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
*1 そのほか、重要な会社情報について「可能な限り、日本語と同時に、英語で同一の内容の開示を行うよう努める」旨の努力義務も新設されています。
*2 具体例として「例えば、いつ何を(が)決定/発生したかといった海外投資家が事案の概要を把握するに足りる情報について英語で開示したうえで、詳細は日本語による開示を参照することも考えられます」と記載されています。
*3 具体例として、「 例えば、発生事実に係る開示など急遽対応が必要になる場合や、関係者との調整等により開示直前まで日本語による開示内容が定まらない場合であって、英語による同時開示を行おうとすると、日本語による開示の遅延が生じるときは、この限りでないものとします」と記載されています。
*4 具体例として、「例えば、日本語の一部又は概要を英語で開示し、詳細は日本語の開示資料を参照するよう記載している場合で、日本語の開示資料に投資判断上重要な誤りがあった場合などは、日本語の開示資料に訂正を行った旨を英語で開示してください」と記載されています。
*5 ”例えば「正誤表」の形式により”とあります。
*6 決算短信(サマリー情報)及び適時開示に関する英文開示の様式例や、英文開示に記載するディスクレイマーの文例等が提供されています。
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。