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HINTサステナ情報のヒント

サステナビリティレポート制作会社、選び方のヒント①
「制作実績」ではわからないこととは?

サステナ開示をめぐる動向 / 開示媒体

サステナビリティレポートや統合報告書の制作コンペに出席した際、私たち制作会社が必ず聞かれる質問のひとつが、「制作実績」です。

「これまでにどのような会社のレポートを制作してきましたか?」

という質問ですね。

 

確かに、

  • 大手企業
  • サステナビリティ評価が高い企業
  • レポートの社会的評価が高い企業(アワード受賞など)

といった企業様のレポートを手掛けている制作会社であれば安心、とお考えになるのも理解できるところではあります。

 

しかしながら、今、制作会社の実績を見るにあたっては、注意しなければならないポイントがあると私は考えております。

 

本日のブログでは、この点についてお話いたします。

 

レポートは企業様と制作会社「双方」の実績である

制作会社の実績をご覧になる際の注意点として、私が強調したいのは

レポートは、クライアント企業様と制作会社が協力してつくりあげるもの

である、ということです。

 

何を当たり前のことを!とお叱りを受けるかもしれませんが、

コンペの場では意外に忘れられがちなことですので、あえてお伝えさせてください。

 

 

結果として、

優れたレポートができあがっているとして、

(あるいはそうではないレポートができたとして)、

それが、

どの程度「制作会社側の」責によるものであるのか、

(あるいはひとえにサステナビリティ担当者さまのご尽力によるものであるのかは)

実際のところを聞いてみなければわからない…ということを意識しておかれるのは重要と考えます。

 

原稿の進め方やクオリティも、実は千差万別

たとえば:

原稿は制作会社が書いているのか、

その場合、企業様の側でどの程度直さなければならなかったか、

あるいは、最初からサステナビリティ担当者さまがすべて書いておられるのか。

 

あるいは:

原稿の記述にESG評価を高めるための工夫は盛り込まれているか、

そのうちのどの程度が製作会社の発案と提案によるものであったか、

その提案は、企業様の現状と目標からみて適切なものであったのか、

最終的にその提案のどの程度が反映され、レポートとして公表されたのか、

 

原稿ひとつを例にとっても、このようにさまざまな「事情」があります。

 

レポートは「見せ方」より「書き方」が重要になっていく

上記で「原稿」を例に挙げたことには理由があります。

 

それは、私が

今後はより一層

サステナビリティレポートは「見せ方」よりも「書き方」が重要

になっていくと考えているためです。

 

特にサステナビリティレポートにおいては、

いかにして

  •  ISSB(とSSBJ)、CSRD/ESRSへの対応をにらみつつ、
  • さまざまなESG評価/格付機関の要請とその評価を高める方法を認識し、
  • 国内におけるさまざまな法制度や既存開示物の内容と整合性をとりながら、

 

広範囲にわたるトピックの説明に最適な表現を選び、記述していくかが一層問われていくことになります。

 

そしてこの傾向は、

法定開示が今後進展していく中にあっては、ますます顕著になるでしょう。

 

これまでの制作実績より、今求められることを提案できるか

しかしながら、

現時点で提示される制作会社の「制作実績」には、

上述の“「見せ方」よりも「書き方」が重要” との認識で制作されたサステナビリティレポートがあまり多く含まれてはいないと存じます。

 

企業様におかれましては、この点を認識された上で、コンペの場でのご質問内容を検討いただくと良いのではと考えております。

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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執筆者

  • 代表取締役 福島 隆史

    公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。

  • 川上 佳子

    中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。