今年のお盆は、航空に関する話題が二度、大きく採り上げられました。
一度目は、予約状況に関して。例年、夏に発表される「お盆の国内線・国際線予約状況」。「コロナ禍が始まった2020年2月以降で1日当たりの最多」予約数になった日があるとの航空会社発表など、盛況の様子が報じられました*1。
二度目は、台風7号の影響です。8月16日(一部は17日も)に羽田・成田発着の国内線と国際線に欠航が出たことが大きく報じられました。
航空会社にとって台風などの自然災害は避けようのないものではありますが、台風7号は「南海上の海面水温が平年より2度ほど高く、台風への水蒸気の供給が途切れなかった*2」ことが原因であり、背景には気候変動の影響がとの指摘もあります。
こうした報道を見ているうちに、ふと、国内航空大手2社(日本航空、ANAホールディングス)さんは、リスクについてどのような開示をしておられるのだろうと気になってきましたので、早速、最新(2024年3月期)の有価証券報告書「3【事業等のリスク】」を調べてみることにしました。
調べ始める前は「両社ともあまり変わらない内容を挙げているだろう」と思っていたのですが、実際に比べてみたところ、結構違ったのは驚きでした。
(項目名のみですが、両社様の違いをざっくりまとめたものがこちらになります↓↓)
内容の違いについては、これから少しずつ読み解いていきたいと思います。
リスクに関する記述で重要なのは、「つながり」の見せ方――つまり、有価証券報告書「3【事業等のリスク】」に記載されているリスク(のうち主要なもの)が、きちんと戦略に反映され、説明されているかであると、私は考えています。
戦略の説明は、(現状では)有価証券報告書よりも統合報告書でしっかり書いている、という企業さまが多いと思いますので、次回のブログでは、両社様の統合報告書*3が「リスク」についてどう採り上げ、説明しているのかを読み解くことで、有価証券報告書を理解する手がかりを探したいと思います。
なお、このブログ作成準備として、日本航空さんの「JAL REPORT 2023」を検索したところ、「リスク」という単語はこの冊子の中に250回登場するようで…?!
どのような書き方になっているのか大変興味がわきましたので、注意深く読んでいく所存です。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上佳子
*1 出典:産経ニュース「お盆の国内線339万人 航空各社が予約状況を発表、コロナ禍収束で旅行需要堅調」(2024年8月2日)
*2 出典:東京新聞 TOKYO Web「最強クラスの台風7号、猛威ふるったのはなぜ? 関東の南が「まるで熱帯の海」 水蒸気を補給し続けて…」(2024年8月17日)
*3 このブログを書いている2024年8月19日現在では、両社様ともに統合報告書の最新版(2024)はホームページで公開されていないため、「統合報告書2023」を用いることとします。
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。