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ESRS-40a、日本企業100〜150社が対象見込み──なぜSSBJがEUの基準を解説したのか

開示基準等

EU域外企業向けのサステナビリティ報告制度。その対象となる日本企業は、100〜150社になると見込まれています。

これはEFRAGによる非公式の推計です。全体では約1,200社。米国350〜450社、英国150〜200社、日本とスイスはそれぞれ100〜150社とされています。オムニバス法による改正前は約1万社と推計されていたため、対象はかなり絞り込まれました。

その対象企業の報告に使われる予定の基準が、ESRS-40aです。

EFRAGは2026年7月23日に公開草案を公表し、10月31日まで意見を募集しています。

 

なぜSSBJがEUの基準を説明するのか

このESRS-40aについて、SSBJ事務局は8月26日、13時から15時までの2時間にわたるセミナーを開催しました。資料もSSBJのウェブサイトで公開され、アーカイブ配信も予定されています。

日本のサステナビリティ開示基準を設定するSSBJが、なぜEUの基準をわざわざ説明するのでしょうか。

理由は、ESRS-40aが日本企業にも直接関係するからです。

大まかには、EU域内でのグループの純売上高が直近2期連続で4億5,000万ユーロを超え、さらに前期純売上高2億ユーロ超のEU子会社または支店を持つ第三国企業が対象になります。

報告書には、日本の親会社を頂点とするグループレベルの情報が求められます。EU域内の子会社または支店には、その報告書を公表し、アクセス可能にする義務があります。

つまり「欧州子会社だけで対応すればよい」という制度ではありません。

 

普通のESRSとは、何が違うのか

SSBJの79ページの資料では、第三国報告の仕組みからESRS-40a公開草案の内容まで、かなり丁寧に整理されています。

中でも押さえておきたいのが、通常のESRSとの違いです。

ESRSでは「インパクト、リスク及び機会」が報告の基礎となりますが、ESRS-40aではインパクトのみ。リスク、機会、レジリエンス、依存関係に関する要求は除外されています。

一方、バリュー・チェーンは対象に含まれます。

そして、もう一つ大きな論点が「どこまでのインパクトを報告するのか」です。

公開草案では、すべてのトピックを世界全体で見る「グローバル・アプローチ」と、気候はグローバル、それ以外は「EU関連のインパクト」に限定できる「混合アプローチ」の2つが示されています。

ただし「EU関連」とは、単にEU域内で起きた環境・社会影響という意味ではありません。EU市場で販売する製品やサービス、その原材料やサプライヤーなどに起因するインパクトも含まれ得ます。

どこからどこまでがEU関連なのか。その線引きは実務上簡単ではなく、比較可能性や保証可能性への懸念も公開草案で示されています。

 

SSBJとの「二重報告」をどう避けるか

日本企業にとってもう一つ気になるのが、今後のSSBJ基準による開示との関係です。

SSBJの資料では、他の報告書からの「参照による組込み」や、ISSB基準またはISSB基準をベースとする各国基準との相互運用性についても説明しています。

ガバナンス、リスク管理、目標、移行計画、温室効果ガス排出などには共通部分があります。

日本企業がSSBJ基準に沿って作成した情報を、ESRS-40aでもどこまで使えるのか。逆に、ESRS-40aのために何を追加しなければならないのか。

これは今後、実際の報告体制を設計する際の論点になりそうです。

 

アーカイブが公開されたら見ておきたい

ESRS-40aによる第三国報告は、2028年1月1日以後に開始する事業年度から適用され、最初の報告書は2029年に発行される予定です。

まだ少し先に見えます。

ただ、SSBJの資料を読むと、まだ決まっていないこともかなりあります。

たとえば、日本の親会社が3月決算で、EU子会社が12月決算だったらどうなるのか。

対象判定に使う「前期」や「直近2期」はどの期間なのか。報告書の提出期限は、どちらの決算日から数えるのか。SSBJ資料では、こうした点についてEUやEFRAGによる明確化が必要とされています。

資料を読むだけでも制度の全体像はつかめます。ただ、新しい制度の説明では、SSBJ事務局がどこに時間を使い、どの論点を強調したのかも知りたいところです。

アーカイブ動画が公開されたら、EUに一定規模の事業を持つ企業のサステナビリティ・IR担当者は確認しておく価値がありそうです。

そして特に聞いてみたいのが、この3月決算の問題です。

3月決算の日本企業と12月決算の欧州子会社。この組み合わせでは、いったいどの事業年度から「対象になるかもしれない」という前提でデータを見始めればよいのでしょうか。

 

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本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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