環境省は2026年8月7日、「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2026年版」などを公表しました。
今回の改訂では、ICMAなどの国際原則の改訂を反映するとともに、パブリックコメントや市場の現状を踏まえて国内向けの解説が修正されています。
その中で注目したいのが、「外部レビュー」の扱いです。
外部レビューを取得していることは、もちろんグリーンファイナンスの信頼性を支える重要な要素です。しかし、「外部レビューあり」という事実だけで、その案件の環境改善効果まで自動的に保証されるわけではありません。
今回の意見募集では、「外部レビューは取得の有無だけでなく、評価範囲・前提・限界が分かるようにすべき」とする意見が提出されました。
これに対して環境省は「いただいた御意見を踏まえ」、ガイドラインの「投資家に望まれる事項」「貸し手に望まれる事項」に、個別判断の際の考慮事項を追加すると回答しています。
2026年版では、グリーンボンドについて、資金使途となる事業を判断する際には、発行体の説明、自己評価、外部レビューを通じて、事業の置かれた環境だけでなく、「技術的な進歩」や「国内外の動向や政策的な進展」なども踏まえて個別具体的に判断することが望ましいとされました。
さらに、外部レビューが付されていても、その文書を十分に吟味し、レビューだけに依拠せず、最終的な判断は投資家自身が行うことを求めています。
ここからは実務上の読みです。
重要なのは、外部レビューを「取得時点の評価」として捉えることではないでしょうか。
例えば、ある設備が現在の技術水準では十分な環境改善効果を持つと評価されていても、数年後に、より環境性能の高い技術が一般化する可能性があります。政策や規制の要求水準が変わることもあります。
その場合、「以前、外部レビューを取得した」という説明だけでは十分ではなくなります。
実際、2026年版は投資後についても、資金管理の状況、想定したインパクトが発現しているか、状況に変化がないかをモニタリングすることを投資家に求めています。
つまり、グリーン性の判断は、資金調達時点だけで完結するものではありません。
この考え方は、資金を調達する企業側の開示にも関係します。
グリーンボンドやグリーンローンについて説明するとき、「グリーンリストに該当しています」「外部レビューを取得しています」で止めるのではなく、
- 何によって環境改善効果が生じるのか
- その効果をどのような前提や方法で測っているのか
- ネガティブな影響をどう管理しているのか
- 外部レビューでは何が確認され、何が確認されていないのか
- 技術や政策の変化によって、当初の評価に変化が生じていないか
まで説明できる状態にしておくことが重要になります。
グリーンファイナンス市場が広がるほど、「認証や評価を取得したか」だけではなく、その中身を継続して説明できるかが問われるようになりそうです。
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なお、今回の意見募集には、筆者も「外部レビューは取得の有無だけでなく、評価範囲・前提・限界が分かるようにすべき」とする趣旨の意見を提出しました。環境省はこれに対し、「いただいた御意見を踏まえ」としたうえで、投資家・貸し手が個別判断を行う際の考慮事項をガイドラインに追加しています。
パブリックコメントは、提出して終わりではありません。最終版でどのように扱われたかまで確認すると、制度が何を問題として捉え、実務に何を求めようとしているのかが、より具体的に見えてきます。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。