グラスジェムコーンというトウモロコシがあります。一本の穂に、赤、青、紫、黄色など、さまざまな色の粒が並びます。同じ種類の種をまいても、皮をむくまで、どんな色や配色になるかはわかりません。
会社も本来、これに近いのではないでしょうか。
同じ会社に入った人でも、経験する仕事や出会う上司、任される役割によって、育ち方は変わります。ところが企業は、採用の段階から「どんな人になるか」を見極めようとし、その後も研修や評価を通じて、できるだけ同じ方向にそろえようとします。
多様性を本気で考えるなら、採用だけでなく、その後の育て方まで見直す必要があります。
採用では、「自社に合うか」が重視されます。もちろん、価値観や働き方が大きく食い違えば、双方にとって不幸です。
ただ、「うちに合いそう」「話が通じやすい」という感覚を重視しすぎると、今いる社員と似た人ばかりを選ぶことにもなります。
本来、会社全体の人的ポートフォリオを見て、「今の組織に足りないものを持つ人」を採れれば理想的です。しかし、すべての採用担当者が組織全体を見渡すことは現実的ではありません。そもそも、人は入社時点で完成しているわけでもありません。
だから採用では、「この人が将来どうなるか」を当てることより、「今の会社にない経験や考え方を持ち込む可能性があるか」を見るほうが現実的です。
採用を一人ずつ最適化しようとすると、どうしても「失敗しにくい人」が選ばれます。その結果、学歴、経験、考え方、話し方まで似た人が集まりやすくなります。
むしろ、採用全体を一つのポートフォリオとして見るほうがよいのではないでしょうか。
即戦力になる人。異業種の経験を持つ人。専門性は高いが従来の社内常識にはなじまない人。まだ何が得意かわからない若手。
全員が同じ理由で成功する必要はありません。重要なのは、環境が変わったときに、全員が同じ理由で判断を誤らないことです。
組織の多様性には、見た目を変える以上に、こうした意味があります。
問題は、採用後です。
せっかく異なる経験や価値観を持つ人を採っても、同じ研修、同じキャリアパス、同じ評価基準を通し、「うちではこう考える」と教え続ければ、数年後には似た判断をする人ばかりになります。
グラスジェムコーンは、皮をむくまで、どんな色になるかわかりません。人も同じです。採用時点で「この人は営業向き」「この人は将来の管理職」と決め切るより、育つ過程で現れる違いを見たほうがよい。
多様性のある組織をつくるとは、違う人を集めることだけではありません。
何色になるかわからない人を採り、その違いが現れるまで、同じ色に染めずに育てること。
採用、配置、育成、評価を一続きで考えるとは、そういうことなのではと最近は思っています。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。