GPIFは毎年、株式・債券の運用を委託する運用機関に、「重大なESG課題」を確認しています。
2026年8月12日には、その最新版が公表されました。
2024年公表資料、2025年のスチュワードシップ活動報告、そして8月12日に公表された2026年の結果を並べると、運用機関が重視する論点の変化が見えてきます。
まず変わらないのが、気候変動の重要性です。
2024年から2025年にかけて、国内株式、外国株式、債券の6つの運用区分を単純平均すると、「重大」とした割合は93.8%から95.3%へ上昇しました。
一方、同じ単純平均で最も大きく上昇したのが生物多様性です。63.2%から73.2%へ10ポイント上昇しました。生物多様性を重大なESG課題として捉える運用機関が広がっていることがうかがえます。
2026年も気候変動は引き続き最重要テーマです。GPIFは今回、コーポレートガバナンスと情報開示についても、すべての資産クラスで半数以上の運用機関が重大課題として挙げたと整理しています。
もう一つ注目したいのが、選択肢そのものの変化です。
2025年には、課題数が28項目から31項目に増え、「人材開発」「プライバシー及びデータセキュリティ」「企業文化・風土」が新たに加わりました。
これらは、従来からあった人権、労働基準、不祥事、コーポレートガバナンスなどとも関係しますが、あえて独立した項目として設定されています。
少なくともGPIFが運用機関の問題意識を把握する際の論点は、人材育成、情報管理、組織風土といった、より具体的な経営課題へと広がっています。
※なお、前年との比率比較には注意が必要です。調査対象となる運用機関数が変わっているため、比率が下がった項目について、直ちに「投資家の関心が低下した」と判断することはできません。
企業側にとって重要なのは、個々の項目の順位だけではありません。
GPIFは2025年度から、サステナビリティについて「フィナンシャルマテリアリティ」の観点から、企業による機会の追求、リスク低減・強靭性向上、情報開示を運用機関が促進することを重視しています。
2026年の結果でも、国内株式では資本効率、少数株主保護、取締役会構成・評価への関心が高くなっています。
サステナビリティ担当者様にとっては、「そのテーマを開示しているか」だけでなく、なぜ自社にとって重要なのか、それが事業やリスク、資本配分、経営判断にどう関係するのかまで説明できるかが、これまで以上に重要になりそうです。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。