経済産業省の「AI時代におけるデジタルガバナンス検討会」で、次期デジタルガバナンス・コードの具体像が見え始めました。名称案は「デジタルガバナンス・コード4.0~AI時代におけるDX・AX経営による企業価値向上に向けて~」です。
(参考資料)
第2回 AI時代におけるデジタルガバナンス検討会事務局説明資料(2026年8月)
まだ検討段階ですが、今回の改訂はAIの利用ルールを追加するだけのものではありません。企業経営そのものを「AI前提」で見直す方向が示されています。
改訂案では、AIの急速な発展による社会・競争環境の変化をリスクと機会の両面から把握し、それを踏まえて経営ビジョンやビジネスモデルを策定することが求められています。
これまでの統合報告書では、中期経営計画を実現する手段としてDXやAIを紹介する構成が多く見られました。今後は一歩進んで、AIによって顧客価値や競争条件がどう変わり、その中で自社はどのような価値を提供するのかを説明する必要が出てきそうです。
柱立ての見直し案では、「データ」と「ガバナンス」が新たな独立項目として示されました。
データについては、単なるIT基盤ではなく「重要な経営資源」と位置付け、収集、整備、管理、活用の方策をDX・AX戦略に盛り込む方向です。
ガバナンスについても、AIの誤判断、説明責任、透明性、安全性、知的財産、情報管理などへの対応を明確にし、サイバーセキュリティを含めて経営上の監督対象とする案が示されています。
影響は、DXページだけにとどまりません。経営ビジョン、事業戦略、人的資本、データ、リスク管理、取締役会の監督、成果指標まで、既存の開示全体に及びます。
特に人的資本では、AI研修の受講人数よりも、人とAIの役割分担、必要スキルの変化、人材の再配置やキャリア形成との接続が問われるでしょう。
今年の統合報告書で、コード4.0への対応をうたう必要はありません。ただし、AIを何件導入したかではなく、AIによって経営や組織をどう変え、どのような企業価値を生み出すのか。今からこの問いを投げかけておくことは、次年度以降の開示を大きく左右しそうです。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。