サステナビリティ・サプライチェーン評価大手の仏EcoVadisは2026年7月23日、企業間交流のための「EcoVadis Community」を、EcoVadisの非顧客を含む、調達・サステナビリティの実務家にも開放したと発表しました。
同プラットフォームは今年3月、EcoVadisの評価を完了した企業向けに始まりました。調達・サステナビリティの実務家が、フォーラムや資料ライブラリーなどを通じ、規制対応、脱炭素、人権デューデリジェンスといった課題の知見を交換する場です。
今回、対象は調達組織やサステナビリティ担当者全般へ広がりました。フォーラムとウェビナーはすべての登録者が利用できます。一方、「Sustainable Procurement Co-Lab」や「CPO Roundtables」など、一部の協働領域はプレミアムアクセスです。「全機能の無料開放」ではない点には注意が必要です。
EcoVadisによると、開始後の会員数は世界で月20%のペースで増え、800件を超える詳細な議論・インサイトが蓄積され、質問の86%が解決されたといいます。同社公表値ではありますが、評価結果を受け取った後に何をすればよいのか、実務家同士で学びたいという需要はうかがえます。
サステナブル調達では、発注企業が質問票を送り、不足を指摘し、改善を求める形になりがちです。しかしサプライヤー側には、「規程をどう整えるか」「どの部門を巻き込むか」「何を証拠として残すか」という悩みがあります。評価だけでは、この実装の壁は越えられません。
今回の開放は、EcoVadisが評価を中心とするサステナビリティ・プラットフォームから、改善の知見が企業間を流れる協働型エコシステムへと踏み出した動きとも読めます。同時に、非顧客との接点を増やすプラットフォーム戦略でもあるでしょう。
プライム上場企業にも問いがあります。サプライヤーに回答や受審を求めるだけでなく、評価後の改善方法を学べる場まで用意できているでしょうか。
競争領域ではない実務知を共有し、個社ごとに同じ説明を繰り返す状態から共同学習へ移ることが、サプライチェーン全体の底上げにつながります。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
情報源
EcoVadis「EcoVadis Scales its Global Community to Accelerate Supply Chain Resilience」(2026年7月23日)
EcoVadis「EcoVadis Launches Peer-to-Peer Community to Turn Sustainability Insight into Shared Progress」(2026年3月3日)
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。