2026年7月21日を対象とした熱中症警戒アラートが、東北から沖縄までの42都府県・43地域に発表されました。今季最多の発表で、大阪府が対象となるのは今季初めてです。名古屋市と岐阜県多治見市では最高気温40℃が予想され、全国で今年初めての酷暑日となる見込みでした。
同じ7月、大林組は全国の建設現場で作業の開始時間を前倒しする運用を始めています。職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されてから、2026年の夏は2年目にあたります。
厚生労働省は2026年5月27日、2025年に職場で発生した熱中症による死傷災害の確定値を公表しました。休業4日以上の死傷者数は1,803人で、2024年の1,257人から約43%増加し、統計を取り始めた2005年以降で最多となりました。一方、死亡者数は19人で、2024年の31人から約39%減少しています。
厚生労働省は公表資料の中で、2025年6月から8月の平均気温偏差が+2.36℃と統計開始以来最高を記録したことを、死傷者数増加の一因と推測しています。あわせて、2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により事業場における重篤化防止対策が一段と進み、改正が主な目的としていた死亡災害の防止が一定程度図られたと考えられる、と記載しています。
2025年の業種別内訳は、死傷者数が製造業365人、建設業292人、商業237人、運送業220人、警備業199人の順です。死亡者数は建設業5人、警備業3人が上位となっています。
2021年から2025年までの5年間の累計では、死傷者数に占める割合が製造業19.1%、建設業18.7%、運送業13.4%、商業11.2%、警備業11.1%です。死亡者数では建設業が39.7%を占めます。農業は死傷者数の割合が2.3%である一方、死亡者数の割合は8.4%でした。
2025年の死亡19件を被災場所でみると、屋外が15件、屋内が4件です。厚生労働省の事例整理では、報告体制の整備と周知が確認できなかった事例が2件、措置手順の作成と周知が確認できなかった事例が3件、労働衛生教育の実施が確認できなかった事例が9件ありました。
2026年3月18日付の基発0318第1号により、「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」が定められました。同時に、2021年4月20日付の基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱」は廃止されています。
通達は策定の背景として、検討会報告書の指摘を挙げています。業種・業態や作業場所による制約条件で作業内容が異なるため、一律の対策を示すのではなく、複数のオプションから事業者が業種・業態に応じて適切な対策を選択できるよう包括的にまとめたガイドラインを策定することが有効である、という内容です。
2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、2026年4月1日から、労働者と個人事業者等が同じ場所で作業を行う場合に、元方事業者へ個人事業者等の安全衛生を確保するための措置義務が課されました。2027年1月には個人事業者等の業務災害に関する報告の仕組みが、2027年4月には個人事業者等自身への義務と作業場所管理事業者による連絡調整の義務が施行される予定です。
大東建託は2026年5月25日の説明会で、自社と協力会における熱中症対策の費用を前年度の9,000万円から1億5,000万円へ増額する方針を示しました。ペルチェ素子を用いたベストの改良や、ミストファン付きトイレの設置が内容に含まれます。
大林組は2026年5月21日、7月と8月の国内建設現場について、標準的な午前8時から午後5時までの作業時間帯を午前7時から午後1時へ変更すると発表しました。工程への影響が懸念される現場では、比較的気温の低い時期に作業時間を延長するなど、年間を通じた工程調整を行うとしています。
2026年の夏に積み上がる数字を、企業は法令対応の成果と気温の記録のどちらとして読むことになるのでしょうか。
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それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。