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EthiFinanceとESG Bookが統合へ――ESG評価と信用格付の距離が縮まる

サステナ開示をめぐる動向

欧州の独立系格付会社EthiFinanceとサステナビリティデータ企業ESG Bookは2026年7月9日、両社を統合する取引を発表しました。統合後はEthiFinanceのブランドを使用し、欧州最大級の独立系サステナビリティ・信用格付機関を目指します。

 

ESGデータと信用格付を一つの基盤へ

EthiFinanceは、2004年にパリで設立された、ESG評価に加えて信用格付を提供する欧州系の格付会社です。2018年にフランクフルトで設立されたESG Bookは、企業のESG・気候関連データ、スコア、ポートフォリオ分析などを金融機関向けに提供してきました。

統合後のグループは、欧州、米国、インド、日本に300人超の専門人材を擁し、500社以上の顧客にサービスを提供します。企業のカバー範囲は世界1万社以上、一部のデータセットでは7万6,000社に及ぶとしています。公開市場に加え、データが乏しい未公開市場(プライベート市場)のカバーも強みに挙げています。

提供するサービスには、ESG・信用格付、サステナビリティ・信用データ、規制報告、ベンチマーキング、ポートフォリオ分析、サプライチェーンリスク管理などが含まれます。両社によれば、サステナビリティ格付と信用格付の双方を大規模に提供する独立系欧州企業は、統合後の同社が唯一となります。

 

背景にあるEUのESG評価規則

統合の発表が行われたのは、EUの「ESG評価規則」(規則2024/3005)が適用された直後です。同規則は、EUがESG評価活動を対象に定めた初めての枠組みで、2026年7月2日から適用されます。EU域内でESG評価を提供する事業者には、欧州証券市場監督局(ESMA)への登録が義務づけられます。評価手法や利用データ、環境・社会・ガバナンス各要素の重み付けの開示、利益相反管理も求められます。継続を予定する既存事業者は、2026年8月2日までにESMAへ届け出て、同年11月2日までに認可申請を行うスケジュールとなっています。

同規則の第16条は、同一の法人がESG評価と信用格付を兼営することを原則として禁じ、一定の分離措置を条件に例外を認めています。制限は法人単位で課され、グループ全体には及ばないとされています。双方を提供する事業者は、両活動を別々の法人などに分離して運営することになります。
規制対応に必要な組織体制やデータ基盤への投資負担が増すなか、ESG評価業界では、規模と技術力を確保するための再編が進む可能性があります。両社は統合を、米国系大手に対抗する「欧州発の評価インフラ」を構築する動きと位置づけています。

 

日本企業に関わる論点

統合の発表だけで、日本企業に対する評価方法やスコアが直ちに変更されるわけではありません。両社は、取引条件を含む追加情報を2026年9月に公表するとしています。

両社は、市場の関心が「データに基づく重要性(マテリアリティ)」へ移っているとし、財務価値と非財務価値の結びつきを強めることを統合の狙いに挙げています。前向き指標を用いて財務リスクと非財務リスクの分析を接続する能力を訴求しており、ESG情報を独立した「非財務情報」としてではなく、信用リスクや事業リスクと同じ基盤で扱う構図が、統合後の事業構成に含まれています。

ESG情報と企業価値のつながりを、開示がどこまでデータで示せているか。評価手法の透明性がEU規則で制度化され、ESG評価と信用格付を一つのグループで束ねる事業者が生まれる局面で、日本企業の開示はどのように読まれることになるのでしょうか。

 

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本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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