健康経営銘柄の選定企業一覧を初回の2015年から並べていくと、毎年のように名前が載り続ける企業と、数年で姿を消す企業に分かれます。2026年3月9日に発表された健康経営銘柄2026は第12回にあたり、28業種44社が選定されました。
選定の履歴を称号に変える制度が示されました。2026年7月14日の第6回健康経営推進検討会に提出された経済産業省ヘルスケア産業課の事務局資料に、「健康経営銘柄Premier(プレミア)」の創設が記載されています。
資料に記載された要件は3つです。
称号の保持には、ホワイト500の認定継続が条件として置かれます。
選定企業には新たなロゴが付与され、取組に関するPR資材が作成・公開されるほか、講演等で優先的に事例が紹介されます。経済産業省は、今後、必要に応じて制度の見直しを図るとしています。
3つ目の普及活動は、新設された評価軸ではありません。
健康経営優良法人2026(大規模法人部門)の認定要件には、「自社従業員を超えた健康増進への取り組み」として「トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること」が置かれています。
ホワイト500では必須項目、通常の大規模法人部門では17項目中14項目以上を満たせばよい選択項目の一つでした。Premierでは、称号取得の明示的な条件へ移ります。
Premierの創設は、7月14日の検討会で初めて登場した案ではありません。
令和8年5月25日にとりまとめられた「攻めの予防医療に向けた性差に由来するヘルスケアに関する副大臣等会議」の論点整理に、「健康経営銘柄に継続選定されている企業を層別化する新たな枠組みの創設」が記されています。6月24日の日本成長戦略会議(第5回)に提出された「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ(案)」にも、同じ文言が並びます。
両文書で普及活動と並記されているのは、投資家向けの健康投資に関する情報開示指針の策定、サプライチェーン等を含めたグループ全体での健康経営の取組評価、睡眠などの個別施策の評価、テーマ別ベストプラクティスの選定です。
背景には、企業・保険者による健康投資額を2025年の約1兆円から2040年までに約2倍へ拡大するという政府目標が置かれています(日本成長戦略(案)令和8年6月30日)。
同じ事務局資料は、健康経営に関する情報開示の状況にも触れています。
101社を対象とした調査(各社IR資料・HPを参照のうえPwCが作成)では、健康経営銘柄・ホワイト500の認定状況を開示する企業が93社、健康経営の目標・指標を開示する企業が88社を数えます。一方、健康投資額などのインプット指標を開示する企業は7社、労働災害は15社、医療費は9社にとどまります。プレゼンティーイズムなどの生産性指標は84社が開示するものの、測定方法は東大SPQ、WHO-HPQ、独自アンケートに分かれます。
資料は、健康経営に関する情報開示が認定取得の開示に偏り、開示指標の定義や測定方法にばらつきが見られるため、投資判断に十分活用されていない状況にあると述べています。経済産業省は「健康経営に関する情報開示の指針(仮称)」を年内に策定する方針を示しました。
令和8年度健康経営度調査(大規模法人部門)には、企業の健康投資額を問う設問を新設する案も示されています。政策的観点からの実態把握を目的とし、評価対象とはしない方針が併記されました。
通算10回という履歴を満たす企業は限られます。
一方、普及活動の実績と健康投資額は、令和8年8月から実施される健康経営度調査で、回答企業全体が向き合う項目です。
Premierの3要件は、少数の企業を選び出す基準にとどまるのでしょうか。
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本日もお読みいただきありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。