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最低賃金、同じ年度で半年の開き――発効日と決め方に「理由明示」を求める動き

人材戦略

本日(2026年6月24日)の日本経済新聞朝刊に、こんな記事が載っています。

最低賃金、早期浸透促す 「発効遅れなら理由明示を」厚労省方針 地域間格差に歯止め

 

同じ年度の最低賃金でありながら、栃木県は2025年10月1日に発効し、秋田県の発効は2026年3月31日でした。引き上げ額が決まったあと、いつから効き始めるかで、半年近い開きが生まれた一年でした。2026年6月23日の中央最低賃金審議会で、厚生労働省は発効日の遅れに歯止めをかける方針を示しています。

 

本日のブログではこの記事についての解説を書き、最後に私の読み解きを少し載せておきます。

 

30日後発効から指定日へ、広がった発効日のばらつき

最低賃金は、国の審議会が示す目安を踏まえ、各都道府県の地方審議会で引き上げ額が決まります。

現行法では、改定額の官報公示から30日後の発効が原則で、別の日付を指定することもできます。審議会には、学識者である公益委員、労働組合の代表、経済団体の代表が名を連ね、三者で上げ幅を話し合います。

 

発効日の指定は、長く目立った論点ではありませんでした。

2024年度は46都道府県が10月中に発効し、最も遅い徳島県でも11月1日でした。状況が変わったのが2025年度です。物価上昇に負けない賃上げをめざす政府方針のもと、賃上げ余力の乏しい企業の事情を考慮して、発効を通例の10月上旬より大幅に遅らせる例が目立ちました。秋田・福島・群馬・徳島・大分・熊本の6県で発効が年をまたぎ、群馬県は2026年3月1日、秋田県は3月31日まで遅れました。最も早い栃木県の10月1日と並べると、同じ年度の改定でありながら発効時期が半年離れたことになります。

 

厚生労働省の新方針は、30日を超えて発効日を定める場合に、地方審議会で遅らせる理由を明らかにするよう求める内容です。法的な拘束力はなく、今夏に始まる2026年度の議論からの実施を要請しています。発効日の指定は、事務的な日程選びから、理由を説明する対象へと位置づけが変わりました。

 

発効日をめぐり割れる労使の主張

発効日の早い遅いは、労使で見方が分かれています。

日本商工会議所などは2026年4月、政府に「合理的な発効日の設定」を要望し、企業の準備期間の確保と、年収の壁を意識した働き控えの抑制を理由に、1月1日以降を基本とすべきだとしました。

一方、労働組合の中央組織である連合の神保政史事務局長は、6月17日に長坂康正厚生労働副大臣と会い、10月1日を中心に9月も含めた早期発効を求めています。

同じ発効日という論点が、企業の準備のしやすさと、労働者が引き上げの効果を早く受け取れるかという、逆向きの要請で引っ張られています。

 

引き上げ額の決め方にも及んだ「理由明示」

6月23日の審議会では、引き上げ額の決め方についても厚生労働省が見解を示しました。他県との比較だけで金額を決めないよう要望し、最下位を避けたいという理由で大幅な引き上げを実行した事例があったことに触れています。

最低賃金は、労働者の生計費や企業の支払い能力をもとに決めると法律で定められています。厚生労働省は、公的統計などのデータに基づいて金額を決める必要があるとし、国の目安を大きく超えて上乗せする場合は理由を明示すべきだと強調しました。発効の時期と引き上げ額という二つの軸に、同じ「理由を示す」という要請が同時にかかった形です。

 

私の読み解き

2025年度に問われたのは金額の高さでしたが、2026年度に向けて問われ始めたのは、金額をどう決め、いつから効かせるかという手続きの側です。

説明責任の重心が、結果としての数字から、決定のプロセス自体へ移ろうとしています。最低賃金が「いくら」だけで語られる局面は、静かに終わりに近づいているのかもしれません。

 

発効の時期と引き上げ額の双方に理由を求める動きは、最低賃金を「守るべき下限」から「説明される政策」へと変えていくのでしょうか。
2026年度に各県が示す答申と、添えられる理由の言葉は、問いにどこまで答えることになるのでしょうか。

 

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本日もお読みいただきありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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