2026年4月22日、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は北京で理事会を開き、自然関連開示の制度化を「IFRS Practice Statement(実務記述書)」の形で進めることに合意しました。
公開草案は2026年10月、生物多様性COP17のタイミングでの公表が予定されています。今回の議論からは、論点が「自然関連開示を進めるか否か」ではなく、「どの“器”に載せるか」へ移ってきた様子が見えてきます。
4月会議に提出されたスタッフペーパーAP3D「Form of standard-setting」では、自然関連の要求事項とガイダンスをどの形式で公開草案に載せるかを比較しています。
比較対象は、(1)IFRS S1への追加、(2)IFRS S2への追加、(3)新しい独立したISSB基準、(4)IFRS Practice Statement、の4つです。
スタッフが推奨したのは(4)Practice Statementでした。
その理由として、自然関連開示に十分な可視性を持たせつつ、現在進行中のIFRS S1・S2の導入を不安定にしないこと、また現段階では新たな独立基準よりもIFRS S1の実装支援に重点を置くことが挙げられています。
Practice Statementは、ISSB基準そのものの要求事項を変更・追加するものではなく、これに従わなくてもISSB基準準拠を名乗れる文書です。
ただし、IFRS Foundationのフル・デュープロセスを経る正式な基準設定の一形態であり、AP3Dでは、提案される自然関連の要求事項・ガイダンスの内容自体は、他のどのアプローチを採っても同じになりうると整理されています。
ISSBは公式声明で、重要性のある自然関連情報の開示は任意ではなくIFRS S1がすでに要求していること、Practice Statementを適用する企業にとってはISSB基準を適用するのと同じ効力を持つこと、を明確にしています。
あわせて、Practice Statementとして公表することは、将来ISSB基準として再構成する道筋を閉ざすものではないとも明記されています。
2026年3月の理事会では、自然関連の指標、移行計画、目標、戦略・意思決定への接続などについて、公開草案のベースとなる方向で論点整理が進んでいます。10月の公開草案では、Practice Statementという形式自体が適切かどうかを問う設問も含まれる予定です。
今回の資料は、自然関連開示が、IFRS S1・S2の外側にある別テーマとしてではなく、それらを補完する投資家向け開示の一部として制度化されていく道筋を示したものとなりました。
10月の公開草案がどのような中身で出てくるか、注目していきたいところです。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。