2026年3月に経済産業省が立ち上げた「地政学リスクを踏まえた製造基盤強化等に関する検討会」が、4月15日に中間取りまとめを公表しました。
第1回開催から約3週間でのスピード整理です。
設置趣旨の段階で短期集中での中間整理が前提とされていた会議体で、拙速というより設計通りの展開でした。
中間取りまとめは、経産省自身が「自律性施策の再定義:『点』から『面』へ」と整理しています。
これまでの支援対象は、重要鉱物や特定半導体のような個別物資──すなわち「点」が中心でした。
中間取りまとめでは、これを「面」、つまり製造基盤全体を支えるエコシステムへ広げる方向が示されています。
追加・強化が想定される支援対象は、
──と、かなりの広がりを持っています。
「面」への転換が急がれた背景には、モノを巡る脆弱性が、もはや重要鉱物だけの話ではなくなっているという認識があります。
中間取りまとめは、重要鉱物に加え、レガシー半導体や化学品の脆弱性も論点として挙げています。先端品だけでなく、産業の裾野を支える成熟部材や汎用中間材のほうが、むしろ広範な影響を及ぼしうる──そうした局面に入っているという前提が置かれています。
ここに、中国の輸出管理強化(2023年以降のレアメタル・レアアース規制)、米国・EUの製造能力強化策、国内加工基盤の弱体化といった要因が重なっています。平時の経済合理性のみでは製造能力を維持しにくいという危機感が、資料全体に通底しています。
中間取りまとめは、政策ツールの話にとどまりません。企業の経営・開示に関わる既存の動きも明示的に参照されています。
特にCGコード改訂の論点では、地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスクへの対応が、リスク管理体制整備の考慮事項として位置づけられる方向で議論が進んでいます。
経産省側の政策転換と、金融庁側のガバナンス議論が連動する構図です。
中間取りまとめは、あくまで中間整理です。
「視点1から4」の具体化は、今後の議論に委ねられています。
CGコード改訂の公開草案、改正経済安全保障推進法の国会審議、循環経済行動計画の取りまとめ(2026年4月目途)が、近い時期に続きます。
それぞれが、今回の「面」への転換を実装する具体的な枠組みとして動き始めます。
政策と開示の両側から、関連する動きを引き続き追っていきます。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。