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GX需要創出研究会が始動――GXフューチャー・リーグに「調達コミットメント」が加わった

GX

2026年4月2日、経済産業省は「GX需要創出に向けた研究会」第1回の事務局資料を公表しました。

先日このブログでも取り上げたWEFの記事(Emma Prouteau氏、2026年3月15日)は、サステナブルな商品が広がらない理由は消費者の意識不足ではなく、市場のつくりそのものにある、と指摘していました。必要なのは啓発だけでなく、市場設計の見直しだ、という問題提起です。

では、日本はその「市場設計」にどこまで踏み込み始めているのでしょうか。
今回の資料を読むと、その答えがかなり具体的に見えてきます。

 

これまでのGX政策は、技術開発や供給側の支援が中心でした。今回の研究会は、「誰がGX製品・サービスを買うか」という需要側の制度整備に正面から取り組む場として立ち上げられています。

論点として挙げられているのは、①GX製品・サービスの範囲の整理、②GX関連予算との連動、③優れた取組を行う企業の公表・表彰の仕組み、の三つです。

 

GXフューチャー・リーグに「需要創出」が加わりました

4月1日に始動したGXフューチャー・リーグは、従来のGXリーグとTCFDコンソーシアムの機能を統合した組織です。4月1日時点で304社が参加しています。

注目点は参画要件です。2030年度のScope1・2排出量目標の報告に加え、「自社のGX需要創出に係る取組のコミットメント」の報告が求められるようになりました。コミットメントの内容には、GX率先実行宣言の実施、GX製品・サービスの積極的な調達・販売、サプライヤー支援、CFPやScope3の算定・目標設定などが含まれます。

排出削減だけでなく、調達や販売を通じた市場立ち上げへの貢献が、参加の条件に加わった形です。GXリーグは「賛同の場」から「行動を選別する場」へと移りつつある、といえます。

 

GX率先実行宣言の現状と課題

GX率先実行宣言は、2024年12月に発足した枠組みです。自立的に需要が立ち上がりにくい製品について、企業が率先して調達する意向を自主的に宣言する仕組みで、4月1日時点で56社が宣言しています。対象製品は電気自動車、水素、グリーンスチールなどです。

資料では現状の課題も率直に整理されています。

 

  • 対象製品の区分が「供給側の支援制度」を軸に整理されており、調達側から見てわかりにくい
  • 流通量が少なく、実際の調達が難しい製品がある
  • 事業活動との関連性が薄い製品でも宣言できてしまう
  • 一製品で高いグレードを取得すると、企業全体がそのグレードに見える公表の仕方になっている

 

見直しの方向としては、対象製品を調達側の視点でリスト化すること、事業活動との関連付けを強めること、グレード表示を製品ごとに見える化すること、高い数値目標には閾値を設けることが示されています。

WEF記事が「サステナビリティ表示への疑念があると、消費者は結局、見慣れた商品に戻る」と述べていたのと、本質的に同じ問題です。宣言の信頼性が担保されなければ、制度は需要創出の土台にはなりません。経産省自身がその点を直視しています。

 

後編では、GX関連予算との連動と表彰制度の概要をお伝えします。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

 

 

一次情報: 経済産業省「GX需要創出に向けた研究会」第1回事務局資料(2026年4月2日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/gx_demand/pdf/001_04_00.pdf

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