昨日の急落に続き、本日(8月6日)は日経平均が過去最大の上昇幅になったとのことで… なんだかそわそわしてしまうような状況ではありますが、まずは落ち着いて、本日もブログを書いていきます。
さて。
改めて今週はどんなテーマでお話をしよう?と考えたとき、私の頭には
株価・為替動向
→ 背景に日銀の政策金利引き上げ
→ OECDは1月、日銀に利上げを提言していた
→ OECDと言えば、デジタル課税とグローバル・ミニマム課税
との連想が浮かびました。
ということで、(なんだか無理やりこじつけた感もありますが)今週は、「税務開示」をテーマにしたいと存じます。
実は、税務開示についてはどこかのタイミングでお話したいと思っておりました。
最近、企業さまのウェブサイトやレポートでの税務関連の開示が、増えていたり充実したりしています。
(お気づきの方、実は気になっていたんだよな…という方もおられるのでは?)
とはいえ、サステナビリティ担当者さまが税務開示を直接担当しておられるケースは、あまり多くはなく、税務なんてわからないよ…と困惑される方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、シリーズ初回の今回は、「税務なんて専門外だよ!」というサステナビリティ担当者さまにも税務開示の“今”をご理解いただきやすい、資料と書籍を1点ずつご紹介することにしました。
企業さまにおいて、ある項目の情報開示が充実するとき、その背景には、
の要請があることが多いです。
そして、税務開示もその例外ではありません。
今回、1点目としてご紹介する資料=令和5年度経済産業省委託事業(デロイトトーマツ税理士法人)の「グローバルな税務ガバナンス体制整備のあり方」資料p14~19は、この点(特に、機関投資家の考え方)をわかりやすく説明してくれていますので、この6ページだけでも目を通していただくと、ご理解がはかどるのではと存じます。
上述の資料「グローバルな税務ガバナンス体制整備のあり方」p19には、
過度に税務プランニングを行っている企業は、ESGの側面からの評価は低くなる。
と書かれています。
ここを読んで「え、なんで?」と思われた方へ。
お勧めしたい本があります。
長島・大野・常松法律事務所 ESGプラクティスチーム著・「ESG法務」です。
分厚い本ですが、このテーマに関連する記述は、p577~583「第5節 税の公平性・透明性」の7ページだけですのでご安心ください。
冒頭の1ページ(p577)をお読みいただくだけで、「なぜサステナビリティの文脈で税務開示をしなければならないのか」、その背景にある考え方がわかります。
税を可能な限り圧縮すべき単なるコストとみる時代から、各国・地域が公共サービスを持続的に提供することを可能にするというサステナビリティを実現するための必要コストであり、事業活動に照らして構成かつ公平に各国・地域において納税しなければならないものとみる時代に変わったということができる。
これは開示ではなく、税務全体の話になってしまいますが:
企業さまとして今、難しいのは、1点目の資料に書いてあることと2点目の書籍にあることのバランスをとる必要がある、という点ではないかと思っております。
つまり、
が求められる一方で、
ことも要求されているところに難しさがあるのではと。
この点について、次回以降も考えていきたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。