2025年12月24日、外務省は「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」の改定版を公表しました。
(参考リンク)
外務省 「ビジネスと人権」に関する行動計画の改定 (2025年12月24日)
一見すると、サステナビリティ担当者さまにとっては「また一つ、国の方針が更新された」というニュースに見えるかもしれません。
ですが、この改定は、単なる政策文書の更新ではなく、日本企業を取り巻く前提条件そのものが、構造的に切り替わったことを示す出来事だと私は感じています。
NAP改定の背後では、今、いくつもの変化が同時進行しています。
これらは別々の話題に見えて、実はすべて「企業は、何を前提に価値を生み、説明する存在なのか」という一点でつながっています。
今回のNAP改定は、こうした環境変化の中で、日本政府が「人権」を一過性のテーマではなく、経営と市場を支えるインフラとして位置づけ直した結果だと読むことができそうです。
本連載では、制度の要約にとどまらず、「この改定は、企業実務に何を問いかけているのか」という視点から整理していきます。
第1回|なぜ今、日本の「ビジネスと人権」行動計画は改定されたのか
5年間の総括を手がかりに、今回の改定が持つ構造的な意味を読み解きます。
第2回|欧州規制は「後退」したのか?
CSDDDのオムニバス簡素化をどう読むべきか。日本版NAPが示した現実的な判断を整理します。
第3回|第2次NAP時代、サステナビリティ担当者は何を実装すべきか
人権を「説明義務」ではなく「企業価値の源泉」として扱うための視点を考えます。
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人権は、もはや「対応しているかどうか」を問われるテーマではありません。
企業がどのような社会を前提にビジネスを行い、そのリスクと価値をどう説明するのか――その土台そのものが、いま更新されつつあります。
第2次NAP時代に求められるのは、チェックリストの消化ではなく、人権を経営判断の前提に組み込む構造転換です。
週明けからの連載が、その変化を読み解き、実務に落とし込むヒントになれば幸いです。
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今週もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、来週のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。