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この記事の3つのポイント
GXリーグ。
聞いたことはあるけど、実はよくわからない。
一部の大企業や排出量の多い企業の話でしょ?
環境部門の専門テーマだよね?
——そんなイメージをお持ちの若手サステナビリティ担当者さま、実は多いかもしれません。
ですが、先日最近の議論や最近発表された「取りまとめ」を見ていると、
2026年度以降は少しずつ、関係する企業や部門が広がっていく気配があるのです。
その意味で、GXリーグは年明けから、もっと身近になる…と思います。たぶん。
本日はそんなお話をいたしますね。
一部の大企業や排出量の多い企業の話でしょ?
環境部門の専門テーマだよね?
——そんなふうに思われるのも、無理はありません。
GXリーグはこれまで、日本政府が主導して「自主的な排出削減と試行的な排出量取引(GX-ETS)」の取り組みを促すことを中心とする、企業連携の枠組みという側面が強かったです。
- 参加は任意
- 各社が排出削減目標を掲げ
- 余剰削減分を売買する
そういった、比較的「実験的」な位置づけだったといえます。
さて。
2026年度からは、多排出事業者を対象に法定の排出量取引制度が本格稼働します。
つまり、これまでGXリーグが試験的に担ってきた「排出量を管理する役割」は法律側に移ります。
では、GXリーグは不要になるのでしょうか?
──いいえ、そうではありません。
次期GXリーグが自分たちに課した新たな役割は、GX製品・サービスの「需要をつくること」です。
(※詳細は、2025年12月12日に発表された経済産業省「GXリーグにおけるサプライチェーンでの取組のあり方に関する研究会 とりまとめ」をご参照ください)
次期GXリーグの方向転換。
その背景にある課題意識は、次のようなものです。
→ ならば需要を作ろう!
ーーー
GX製品は、環境価値が高い一方で、どうしても製造コストが上がります。
作る側としては、「環境に良いのだから、多少高くても選ばれるはず」と考えたくなりますが…
現実には、企業は「グリーンだから多少高くても買う」ほど、余裕があるわけではありません。
原材料価格の上昇、人件費の増加、為替や地政学リスク…。
トランプ関税の影響を大きく受ける業種もあります。
多くの企業がコストプレッシャーにさらされ、上場企業であれば資本効率を厳しく見られている中で、脱炭素だけを理由に「割高な選択」を続けるのは、簡単ではないのが実情です。
この「作っても売れない」という現実こそが、次期GXリーグで「需要創出」が強調される最大の理由です。
市場原理に任せていては、GXは広がらない
──そこで政府は、GXリーグを使って「買う側」を動かそうとしています。
次期GXリーグで特徴的なのが、「コミットメント」という考え方です。
これは法律で義務づけられるハードローではありません。
一方で、単なる努力目標とも異なります。
次期GXリーグが採るのは、ソフトローによって企業行動を動かす――具体的には、法的罰則ではなく、評価・公表・インセンティブ設計で企業に行動をうながすというアプローチです。
具体的には、
- GX製品の調達やサプライヤー支援といった取組を「コミットメント」として可視化し、
- その実施状況を、補助金の加点や政府による評価・公表と結びつける
という形になります。
法的な罰則があるわけではありません。
ただし、「何もしなくても問題ない」とは言い切れない仕組みになっています。
(詳しくは、上述の資料や日経電子版「GX補助は脱炭素調達など要件に、CO2排出実績は外部評価不要 経産省」(2025年12月1日 )などをご参照ください)
こうしたソフトロー型の制度設計は、
市場原理だけではGX投資が進みにくいという現実を踏まえ、
行政が“ルールの置き方”で需要を後押ししようとする試みだと整理できます。
まずは、次の3つをおさえていただけると良いかと思います。
①GXリーグは環境部門だけの話ではなくなる
調達、事業、IRとの連携が前提になります。
(調達部門…買う/事業部門…使う・売る/IR:それをやる意味を説明する)
②「どれだけ削減したか」だけで評価されない時代になる
製品やサプライチェーンを通じた“削減への貢献”が問われます。
③グリーン製品の調達と活用がランキングされる可能性あり
GX補助金の1つの案件に複数の企業から応募があった場合は、より優れた取り組みを進める企業から順に選定する。経産省はグリーン製品の調達とその活用方法など各分野の先進事例をランキングにして開示することも検討する。
出典:日経電子版「GX補助は脱炭素調達など要件に、CO2排出実績は外部評価不要 経産省」(2025年12月1日 )
2026年度からのGXリーグの第2フェーズは、日本の脱炭素政策が「理念」から「実装」に移る象徴的な動きとなっています。
完璧に理解する必要はありません。
まずは、
- なぜ「需要創出」なのか
- なぜ企業に「買うこと」が求められているのか
この2点を押さえておくだけで、今後のニュースや社内議論の見え方は、かなり変わってくると思います。
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本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。