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気候変動時代のレジリエンスは、最新スキンケア技術からも学べる?——スマートマテリアルとバイオミミクリーのお話

ニュース / 勉強用(初学者様向け) / 気候変動

この記事の3つのポイント

  • 最新スキンケア技術には、スマートマテリアルやバイオミミクリーなど、環境技術と共通する最先端サイエンスが応用されている
  • 刺激応答性材料や極限環境微生物のメカニズムは、都市インフラや気候変動適応策にも通じる「レジリエンス発想」を示している
  • 化粧品の技術背景を理解することは、サステナ担当者にとって、未来の技術潮流をつかむ新しい視点となり得る

 

サステナビリティ担当者さま、日々の業務、本当にお疲れさまです。
ESG経営の推進、Scope 3算定、サプライチェーン管理、そして社内外の調整…。
担当者のみなさまは、「積み上げ型の思考」と「未来の変化への想像力」を同時に求められる、非常に高度な仕事をされています。

 

そんな忙しい毎日の中で、朝のスキンケアはほんの数分でも、呼吸が整うような貴重な時間。

ですが…
実はこの「スキンケアの世界」で起きている技術革新が、いま環境・サステナビリティの最先端と驚くほどリンクしていることをご存じでしょうか。

本日のブログでは、最新スキンケア技術から「気候変動時代のレジリエンス」を紐解き、サステナ領域にも応用できる視点をご一緒に見ていきたいと思います。

 

オルビスの日焼け止めに見る「スマートマテリアル」

先日、ネットニュースをチェックしていたら、2026年春、オルビスから新しい日焼け止めが発売されると知りました。

 

(出典)
オルビス2026年春の新作日やけ止め、太陽光に当たると“自動で膜が厚くなる”新感覚スキンケアUV(ファッションプレス)

 

この日焼け止めの最大の特徴は、「紫外線を浴びたら、必要な場所だけ防御膜が自動で厚くなる」という点です。

この技術は、専門用語でいうと「刺激応答性材料(スマートマテリアル)」。
外部環境の変化を感知し、自律的に機能を変える「賢い素材」です。

 

実は環境・建築の世界でも、この技術とほぼ同じ発想が進んでいます。

- 自己修復コンクリート:ひび割れを感知すると、内部のバクテリアが活動して自動修復

- 調光ガラス:日差しの強さを感知して透明度を自動調整し、冷房エネルギーを削減

- スマートペイント:気温上昇を感知して赤外線反射率が変化し、熱ダメージを軽減

 

「必要な時にだけ、防御機能を最大化する」という仕組みは、都市のレジリエンスや長寿命化のカギ。

つまり、私たちの肌の上で活用されようとしている「自動防御」は、都市インフラの未来とまったく同じ方向を向いているのですね!

 

estが活用した、地球の知恵を借りる「バイオミミクリー」

花王の高級スキンケアラインである「est(エスト)」は、2025年10月、8年ぶりにベーシックラインを進化させ、極限の乾燥環境に挑む、「新・砂漠スキンケア」を発売しました。

 

2017年に、極限環境生物が生み出す成分「エクトイン」に着目した、砂漠のような極度の乾燥環境でも潤い続ける「貯水化粧水」として『エスト ザ ローション』を発売。多くのお客さまから支持され、ブランドの象徴アイテムとして確かな存在感を築いてきました。

 

(中略)

 

『エスト ザ ローション EX』『エスト ザ エマルジョン EX』は、極限の乾燥環境でも潤いを保つ力を備えた新・砂漠スキンケアです。極限の乾燥環境下でも細胞が壊れることなく維持され、干からびても死なずに生き続ける「ネムリユスリカ」(幼虫)の生態に着想。砂漠のような過酷な乾燥環境下でも水を留めて潤いとハリに満ち続ける肌をめざして、新たなスキンケアアプローチを開発しました。

(出典:2025年8月7日付・花王プレスリリース『「est(エスト)」主力のベーシックラインがさらに進化 極限の乾燥環境に挑む、新・砂漠スキンケア誕生』)

 

使われている成分「エクトイン」は、極限環境微生物が持つ、強力な保水メカニズム。
これもサステナビリティ界隈ではおなじみの技術思想である「バイオミミクリー(生物模倣)」に属します。

環境分野では、同じ発想が以下の領域で広く使われています。

- 干ばつに強い農業技術:砂漠生物の保水メカニズムを応用した保水資材の開発

- 砂漠緑化の高吸水性ポリマー:極限環境の植物をヒントに、少量の雨水でも根が生きられる土壌改良

- ホワイトバイオテクノロジー:微生物発酵により、石油由来よりも低環境負荷で高機能素材を生産

 

花王は、実は世界でも有数の化学素材メーカー。
化粧品の裏側には、グリーンケミストリー(環境負荷の低い化学)の研究が深く根付いています。

30億年の進化で培われた生物の知恵を化学で実装する——これは肌を守るだけでなく、地球環境を守る技術開発と同じロジックなのです。

 

肌のサステナビリティは地球のサステナビリティにつながる

ここまでの2つを並べてみると、共通のキーワードが浮かび上がります。

- 外部環境の変化を感知し、自律的に最適化する(スマートマテリアル)

- 極限環境で生き抜く知恵を借りて、自らを強くする(バイオミミクリー)

これらはまさに、気候変動の激甚化に向き合う私たち社会が求められている「適応力(レジリエンス)」そのものです。

実は、化粧品の最先端技術の多くは、化学素材メーカーの環境技術の応用でもあります。
その意味で、私たちが毎朝手にとるスキンケアは、地球の未来とも密接につながっているのですね。

 

「技術の背景にある思想」も味方にできる

最新の化粧品を選ぶとき、ぜひ効果だけでなく、
「この技術、どんなサイエンスの応用なんだろう?」と少しだけ思いを寄せてみてください。

その背後には、おそらく——
サステナビリティ領域で使われている技術の縮図があります。

 

肌も、社会も、しなやかに強く。
サステナブルな未来を一緒に育てていきましょう!

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本日は週末ですので、ちょっと軽めの話題をお届けいたしました。

今週もお読みいただき、ありがとうございます。

それではまた、来週のブログで!

 

執筆担当:川上 佳子

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