DEI / 人材戦略 / 人的資本開示 / 勉強用(初学者様向け)
統合報告書の他社事例を見て、「うちはこんなに華やかじゃない」「社員がこんなに目を輝かせて語り合っていない」と、ため息をついていませんか?
〇〇社や△△社のような「人的資本経営の先進企業」を見て、劣等感を抱く必要は全くありません。
むしろ、あなたが感じている「これ、うちの会社でやったら浮くな…」というその違和感(ブレーキ)こそが、あなたの会社を守っています。
なぜなら、本当の人的資本経営は「ステージの上」ではなく、給湯室や休憩コーナー、あるいは無言のデスクにあるからです。
先進企業の事例は、しばしば「熱狂」を伴います。
「パーパスに共鳴し、自ら手を挙げる社員」は美しいですが、組織全員が常にハイテンションである必要はありません。
あなたが守るべきは、スポットライトを浴びる一部のスター社員ではなく、「会社の文句を言いながらも、毎日淡々と現場を回してくれている、静かな多数派」です。
彼らに必要なのは、派手なスローガンや社長チームではなく、「今日、定時で帰れること」や「理不尽な叱責がないこと」です。 「社員を興奮させない(=疲れさせない)」、これも立派な人的資本経営です。
あなたが「キラキラした施策」に胡散臭さを感じるのは、
あなたが「置いてけぼりになる誰か」の顔を想像できているからです。
「この施策を打ったら、あそこの部の課長は困るだろうな」
「あのベテラン社員は白けるだろうな」
——こんなふうに想像できることは、
変革のスピードを遅くする弱点ではなく、
組織を分断させないための最大の知性です。
どうかその「優しさ」を捨てることなく、
全員が腹落ちする「泥臭い一歩」を選んでください。
メディアやセミナーは
映えるものをもてはやしがちですが、
本当に誇るべきKPIはもっと地味なものです。
たとえば、
「あの気難しい部長が、初めて育休部下の仕事をカバーした」
とか、
「金曜日の夕方、オフィスから人がいなくなった」
とか。
統合報告書には書きにくいけれど、職場の空気を確実に変えている
こんな事実こそが、あなたが積み上げた真の成果です。
「キラキラ」の大半は演出。
でも、
サステナビリティ(持続可能性)とは、
文字通り「無理なく続けられること」です。
ドーピングのような急激な改革で組織を疲弊させるよりも、
あなたのその「違和感」を羅針盤にして、
「地味だけど、確実にみんなが少し楽になる」道を歩んでください。
一番かっこいいのは、
スポットライトの下で語る人ではなく、
舞台裏で働く人たちの靴擦れに気づけるあなたのような人です。
---
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。