この記事の3つのポイント
2025年11月25日、Suica・PASMO事業者が共通コード決済ブランド「teppay」の立ち上げを発表しました。
(ご参考記事)
Suica・PASMO、共通コード決済「teppay」 最大手PayPayに対抗(日経電子版、2025年11月25日)
多くのニュースは
「PayPay に対抗」
「QRコード決済戦争」
といった枠で報じていますが──その理解だけでは、このニュースが持つもうひとつの本質にはたどりつけないのではないかと感じています。
前回の「Suicaの ペンギン引退」記事でも触れたとおり、Suica はすでに「信頼インフラ」へ進化している途中です。
その延長線上で teppay を見ると、別の物語が浮かび上がってくるように思うのです。
今回のニュースの裏には、実は 3つの潮流が同時に動いています。
①「決済は公共インフラである」という再定義
乱立したQRコード決済は、
・シニアにとって複雑
・どの店で何が使えるかわからない
・UIが細かすぎる
など、年齢層による「段差」の原因にもなってきました。
そこで国は、経済産業省の
「キャッシュレスの将来像に関する検討会」(公共交通・地域アプリへのQR導入支援を議論)などを通じて、標準化を後押ししています。
teppay は、この制度潮流と完全に合致した動きです。
②「地域交通 × 観光DX × 決済」を一本化する動き
Suica/PASMOがQRに踏み込む理由は、単なる決済シェア争いではないように思います。
これは、訪日客対応 → 地域交通 → 街づくり → データ連携を一気に接続する、いわば「地域のOS」をつくる方向に向けた一手。
そしてここでも、高齢層の導線と若年層の導線のズレがが課題として浮かび上がってきます。
複数アプリを開くこと、細かいQRを読むこと、決済手段を選ぶこと──
これらは若い人には自然でも、シニアには心理的負荷が大きい。
teppay は、そのもっともつまずくポイントを、Suica/PASMOという慣れた導線に統合する設計になるはずです。
③「移動 × 決済 × データ」という三位一体モデルの始動
Suicaは以前から、位置情報 × 決済情報という極めて高品質なデータを持つ存在でした。
QR決済を teppay という共通フォーマットに束ねることで、街全体のデータを標準化して扱える基盤が整ってきます。
これは、「移動」「買い物」「行動」が一本の線でつながる世界──つまり、都市OSや地域DXの中核とも言えそうな動きです。
日本のBtoCビジネスでは、
- 高齢顧客の体験の複雑化
- 年齢ダイバーシティの欠如
といった課題が顕在化しながらも、これまでは十分に解決されてきませんでした。
企業がうまく解消できていなかった「年齢の段差」解消を、社会インフラ側が先に動いて補正し始めた──それが今回の teppay ではないでしょうか。
単なる決済手段の話ではなく、高齢者が社会とつながり続けるための UX インフラ整備という目で見たら、どんなことが言えそうか。とても楽しみです。
今日は、速報ベースでさわりだけお伝えいたしました。
明日は、
- なぜ teppay は「高齢層のUX」から考えるべきなのか
- そもそも企業が見落としてきた「年齢の段差」とは何か
- 決済・交通インフラが先に動いた理由
- 経産省の政策潮流との接続
などを、制度・戦略・UXの観点から整理し、本編としてお届けしたいと思います。(2回シリーズになってしまうかも…?)
ともあれ、明日もご覧いただけましたら嬉しく存じます。
---
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。