2025年10月30日付の日経電子版記事にて、金融庁が、有価証券報告書の提出期限を「事業年度末から3カ月以内」とする現行ルールを維持する方針であることが明らかになりました。
(参考記事)
金融庁、有報提出期限は3カ月で据え置きへ サステナ開示義務化でも(2025年10月30日)
「2027年3月期からサステナビリティー情報開示の義務化で負担が増えるのに伴い、1カ月延長する案が浮上」していましたが、最終的には従来通りのスケジュールを堅持する形となりました。
つまり、「サステナ開示が始まっても、開示スピードは変わらない」。
企業側にとっては、従来の有報開示と同じタイムラインでより広範かつ保証付きの情報開示を求められる時代が、いよいよ本格化してきます。
2027年3月期からは、時価総額3兆円以上のプライム上場企業に対して、SSBJ基準に準拠したサステナビリティ情報の開示が義務化されます。
さらに2028年3月期からは、その開示内容に対し、「保証(Assurance)」をつけることが義務化される予定です。
上述の記事によれば、保証を担うのは監査法人に限られず、金融庁の登録を受けた専門事業者にも広がる見通しです。
制度としては「柔軟な保証体制」が設計されつつある一方で、企業側はより複雑な判断や対応が求められる局面も増えていくと考えられます。
スケジュール面だけを考えても、これまで以上に非財務データを整理する時間をとることはますます難しくなっていきそうです。
今、企業に問われているのは、「財務と非財務を同じリズムで開示する」ことを、組織全体でどう支えていくか——制度対応にとどまらず、部門横断での協働や、運用・保証に耐える開示プロセスを設計・実行する力が試されるタイミングに差し掛かっているように思われます。
こうした制度の変化と実務のギャップに向き合うべく、11月5日(水)開催の「サステナビリティ/CSR特講 November 2025」では、保証をめぐる実務の最前線をテーマに、2つのコンテンツをお届けします。
一つ目は、講演「有報でのサステナ保証における課題、その大胆予想」です。
金融庁金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング·グループ」中間論点整理(2025年7月17日)について、実際にサステナ保証を行っている者の目線で読み解き、今後における実務上のポイントをお伝えします。
弊社代表 福島隆史が本音で語ります。
さらに今回の特講では、もうひとつの注目コンテンツをご用意しています。
それが、 【舞台】「監〇△×がやってくる!」 です。
【舞台】監〇×人がやってくる!
脚本:(株)サステナビリティ会計事務所/サスティービー·コミュニケーションズ(株) 代表取締役 福島 隆史
出演:劇団SusG
金融庁金融審議会からの中間論点整理に記載されたサステナ情報審査の担い手に関する3つの選択肢。
そのうちの一つの近未来審査現場を勝手に想像、皆様にご覧いただこうとする、劇団SusG創設以来最大級の問題作、ここに公演!乞うご期待!!
ある企業の会議室を舞台に、サステナ室長・財務部長・保証チームが登場。
保証審査をめぐる、リアルでちょっと不思議な(?)やりとりを描く、寸劇形式のプログラムです。
専門用語が飛び交う世界を、少しユーモラスに。
でもそこにあるのは、私たちの現場でも起こり得るすれ違いや、判断の難しさ。
思わず笑ってしまいながらも、
「保証とは何か」「誰のための保証なのか」を、ふと考えたくなる時間になるかもしれません。
難しい講義よりもずっと頭に入る!
ここまでぶっちゃけてくれるサステナビリティの話は他にない!
と毎年ご好評をいただいている恒例の舞台、
今年はさらにパワーアップして登場いたします。
ぜひ当日を楽しみに、会場へお越しいただけますと幸いです。
(現在、団員一同、絶賛稽古中でございます)
制度は整いつつあります。
けれど、その制度の中でどう判断し、どう動くかは、企業ごとに異なります。
だからこそ今、必要なのは「制度に対応する体制」ではなく、
「組織として、状況に応じた対応を考え、実行できる力」ではないでしょうか。
私たちがこの特講でお届けしたいのは、制度の解説だけではありません。
現場での違和感や、判断のリアルを持ち寄りながら、
“これから”を考える時間を、みなさまと共有できたらと思っています。
制度を「学ぶ」だけでなく、現場を「感じる」セミナー。
11月5日(水)13:00〜16:05 よみうり大手町ホールでお待ちしています。
▼セミナー詳細・お申込みはこちら
サステナビリティ/CSR特講 November 2025
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今週もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、来週のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。