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2026年は「仕込みの年」――シナリオ思考がつなぐ戦略とサステナビリティ

価値創造ストーリー

この記事の3つのポイント

  • 2027年は中計の「更新ラッシュ」
  • 次期中計は単なる数字計画ではなく、「なぜこの会社に投資すべきか」を語る物語性が求められる
  • 次期中計で最も重要なのは「シナリオ思考」。そしてその推進役となり得るのが、すでに気候シナリオ分析を経験しているサステナビリティ担当者様

なぜ2026年が「仕込み年」なのか

2026年を前に、多くの企業で「次の中期経営計画(中計)をどう描くか」という準備が静かに始まっています。

実は2024年は、中計の“当たり年”とも言える年でした。東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請などを背景に、中計の発表件数は過去7年で最多を記録。PBR改善や非財務KPIの統合、資本配分の見直しなど、「攻めの中計」を打ち出す企業が相次ぎました。

中計は日本企業において3年サイクルが主流です。2024年に発表された中計の多くが2027年に最終年度を迎えるため、2027年には更新の波が再びやってきます。つまり、その前年である2026年は、新中計を「仕込み直す」タイミングになる企業が多いと考えられます。

加えて、2025年3月に確定したSSBJ(日本版ISSB)基準への対応も本格化します。

2026年は、制度対応と戦略対応を同時に進める、企業にとって重要な1年となるでしょう。

 

次期中計に「シナリオ思考」が不可欠となる理由

BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)が2025年6月に公表したレポートは、中計を単なる業績見通しではなく、「なぜ自社に投資すべきか」を語るエクイティストーリーへと進化させる必要性を強調しています。

すなわち、「なぜこの会社に投資すべきか」を、定量・定性の両面で伝えるストーリーが、いま求められているのです。

このような中計では、単線的な未来予測ではなく、複数の未来を想定しながら計画を描く「シナリオ思考」が不可欠となります。

たとえば:

- 気候変動や地政学リスクなどの外部環境の変化

- 生成AIや人材流動性といった、内部資源や競争優位性の再構築

- 規制・制度の変化(ISSB/SSBJ、人的資本開示、CSRD/ESRSなど)

 

こうした多様な変化を踏まえて、「どんな未来があり得るか」「どんな打ち手が有効か」を考える力――すなわち、シナリオ思考が、中計で問われるようになっています。

 

サステナ担当者はファシリテーターとして活躍できる

シナリオ思考は、実はサステナビリティ担当者さまにとっては、すでに馴染みのある思考法かもしれません。

多くの企業では、TCFDやSSBJに基づく気候シナリオ分析に取り組まれています。
1.5℃や2℃の温度上昇シナリオを前提に、リスクと機会を洗い出し、財務影響を可視化する――これ自体が、「複数の未来を前提に戦略を問い直す」取り組みです。

これはまさに「複数の未来を描き、戦略を問い直す」思考法そのもの。つまり、サステナビリティ担当者さまは、次期中計で必要になるシナリオ思考をすでに身につけておられるのです。

もちろん、サステナ部門が中計全体を描くわけではありませんが、ご担当者さまがこの考え方を経営企画部門や事業部門に伝え、共有することは、現実的かつ大きな貢献となるのではないでしょうか。

社内への伝え方の例

具体的には、こんな関わり方が考えられます↓

- 経営企画や事業部との定例会で、「気候シナリオ分析のフレーム」を共有する

- 中計策定チームに「複数前提で考える発想」を提案してみる

- 社内勉強会やイントラ記事で、「不確実性への備えとしてのシナリオ思考」を紹介する

サステナビリティ担当者さまのこうした一歩が、次期中計を“エクイティストーリー”に磨き上げるきっかけになるかもしれません。

 

おわりに ― 2026年は社内を動かす年に

2027年の中計更新ラッシュを前に、2026年は戦略とサステナビリティを結び直す設計の年となりそうです。そこには、すでにシナリオ分析に触れているサステナビリティ部門だからこそ、社内に視点を届けられるチャンスがあります。

ますます広がるサステナビリティ担当者さまのご活躍の機会、そしてその知見を社内に広げていくきっかけになるような内容を、このブログでは引き続きお伝えしていきたいと思います。

 

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本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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