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月見=卵、の固定観念をほどく――月見商戦のサステナブルな転換点に、コメダが示したヒント

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この記事の3つのポイント

  • 卵価格高騰・供給不安を背景に、月見商戦が企業リスクとして浮上
  • 月見の原点=収穫感謝の精神に立ち返り、卵に頼らない商戦の可能性を探る
  • コメダの「栗のシロノワール」等に学ぶ、サステナブルな秋商品の展開方法

今年もお月見商戦の季節が到来

8月も終盤。外を歩けば、「月見バーガー」や「月見スイーツ」など、秋恒例のキャンペーンが目に入ります。SNSでも「今年の月見はどこで食べる?」という投稿が目立ち、すっかり秋の風物詩となった感があります。

一方で、2025年の月見商戦には、例年とは異なる懸念材料もあります。
それは、鳥インフルエンザによる卵の供給減と価格の高止まりです*1*2

この状況で、外食が一斉に卵を前提とした商品を打ち出すこと、家庭の食卓や小売価格にも波及しかねません。

※なお、この論点は食品以外の業種でも無関係ではありません。季節販促の素材選定(例:ノベルティ原料・パッケージ資材)、店舗・オフィス演出、広告クリエイティブ、社内イベントなど、“季節×社会”の設計は幅広い部門で発生します。

月見商戦の成り立ちと「固定観念」

月見商戦の起点は、1990年代に登場したマクドナルドの「月見バーガー」。卵黄=満月という視覚記号が話題を呼び、ファストフード、カフェ、ファミレス、コンビニへ拡大しました。

「季節感」「限定感」「SNS映え」の三拍子で、“月見=卵”が半ば自明となった――ここに、今日の固定観念が生まれています。

 

ですが、卵を使った月見商戦は、今や企業にとっての“売上機会”であると同時に、“社会リスク”にもなり得る存在ではないでしょうか。

2025年、鳥インフルエンザの影響で卵の生産量は前年比6%減の見通し*2であり、JA全農たまご・東京Mの相場は300円/kg台で推移する局面も確認できます*1

この状況で月見商戦が“卵一色”に集中すると、家庭向け供給の逼迫や価格上昇の助長が懸念されます。

秋を楽しむはずの季節行事が、結果的に生活者の負担を増やす――そんな逆説が、いま現実味を帯びているのです。

 

月見の本来の意味に立ち返る

こうしたリスクを最小化するためのヒントは、お月見の原点に立ち返ることで見つかるように思います。

 

月見とは、もともと、旧暦8月15日の「中秋の名月」に、秋の収穫への感謝を捧げる行事でした。

お供え物は、月見団子、ススキ、里芋など。卵は月見の伝統的な要素ではなく、近年の商業的な解釈により加えられたものです。

この原点に照らせば、卵に“頼りすぎない”表現でも、秋の恵みと季節感を十分に伝えられます。

むしろ、地域食材や規格外品の活用など、サステナビリティの実装余地も広がります。

 

卵に“頼りすぎない”月見の設計――コメダに見るヒント

こうした課題意識を持つ私が個人的に注目しているのは、コメダ珈琲店さんが発表しているお月見商品の方向性です。

今年(2025年)は、「黄色のお月様」(=卵を使った商品)に加えて、「栗色のお月様」とのキャッチフレーズのもと、「お月見シロノワール キャラメルマロン」「お月見オーレ スイートマロン」など、栗を使った商品も前面に打ち出しています。(参考:同社ホームページ「お月見商品販売のお知らせ」)

コメダ珈琲店さん、たしか昨年(2024年)は「安納芋のスイートポテト シロノワール」を打ち出していたと記憶しています。

これらは、「秋の収穫への感謝を捧げる」というお月見の原点にうまく立ち返ったサステナブルなお月見商戦の好例と言えるのではないでしょうか。

 

※コメダさんの“全商品が卵不使用”という意味ではありません。むしろ同一フェア内に多様な解を共存させ、“卵に頼りすぎない選択肢を増やす”姿勢が参考になると私は考えております。

 

いっそのこと月見商戦をハロウィンと接続?

ここからは私の提案ですが――

サステナブルな「月見商戦」をするならば、いっそのこと‟かぼちゃ”を素材をして使ってみてはいかがでしょうか。

 

かぼちゃは丸く、オレンジ色で、満月を彷彿とさせるビジュアル。江戸時代以降、秋の収穫物として日本の食卓に定着しています。

近年では、スターバックスの「パンプキンスパイスラテ」や、コンビニのかぼちゃプリンなど、卵を使わない秋メニューも一般的になりつつあります。

 

さらに、かぼちゃはハロウィンの定番素材でもあるため、「お月見(9月)→ ハロウィン(10月)」というシーズンをつなぐ展開が可能です。
これにより、販売期間の長期化・需要の分散・在庫調整もしやすくなるというメリットも生まれます。

 

季節商戦は、社会課題と向き合う意識を映す

月見商戦は「短期売上の機会」であると同時に、生活者・地域・環境との接点でもあります。

卵に“頼りすぎない”設計へのシフトは、

- 生活者配慮:家庭への波及を抑える選択肢づくり

ー 地域循環:地元食材・規格外素材の活用で共創

- 企業価値:ストーリー性のある調達・表現でブランド文脈を強化

といった面から、非食品業種を含む多くの企業にも示唆を与えてくれるのではないでしょうか(販促資材・広告・イベント・社内の季節プログラム設計など)。

 

季節や行事にまつわる取り組みは、企業が生活者や地域と向き合う大切な接点でもあります。

月見をきっかけに、そうした“季節の商戦”や“文化とのつながり”を、どのようにサステナビリティの視点で見直していけるか――そんな問いを、私自身、今週末はゆっくり考えてみたいと思います。

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今週もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

 


脚注

*1 鶏卵価格の高止まりについては、JA全農たまご・東京M相場の資料・相場表より。

*2 2025年の鶏卵生産・需給見通し(日本養鶏協会〈令和7年3月版〉

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