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生ドーナツブームがサステナビリティを変える?おいしさと廃棄削減を両立する「もっちゅりん」の戦略とは

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ふわもち食感で人気の生ドーナツ、その魅力と課題

ふわもち食感で大人気の生ドーナツ。

2022年に中目黒の『I’m donut?』が火付け役となり、そのSNS投稿数は約4,000件に上りました。さらに2025年にはミスタードーナツが期間限定で発売した「もっちゅりん」が話題をさらい、SNS投稿数6,000件を記録、売上の20%を牽引しました。新店舗『dacō ?』(東京・駒沢)も人気を博しています。

しかし、このようなブームには課題もあります。かつて一世を風靡したマリトッツォのように、ブームが一過性で終わるリスクが指摘されています。生ドーナツが長期的に人気を維持するには何が必要なのでしょうか?ここで重要な鍵となるのが「サステナビリティ」です。

本記事では、生ドーナツブームを通じて、短命トレンド商品における食品ロス削減と財務的価値創出のつなぎ方を、KPIの取り方や開示の仕方へのヒントを考察してみたいと思います。

生ドーナツが持つ食品ロス削減の可能性

生ドーナツはその特性上、「限定生産・即完売」という販売モデルを取ることが多く、食品ロス削減と親和性が非常に高い商品です。実際、ミスタードーナツの「もっちゅりん」は販売開始から1時間で完売し、廃棄率は驚異の1.5%という低水準を実現しました。また、『I’m donut?』も完全受注生産を実施し、食品ロスゼロを目指しています。

もちろん、こうした少量・即完売型の販売戦略は中小ブランド特有の強みではありますが、大手企業ではPOSデータ分析による需給最適化や、サブブランド・地域限定商品の活用などによりスケーラブルな設計が可能です。

「もっちゅりん」のサステナブル設計

その一例とも言えそうなのが、ミスタードーナツが期間限定で発売した「もっちゅりん」です。

「もっちゅりん」は生ドーナツのような柔らかい食感の商品です。こうした商品は賞味期限が短く、廃棄ロスが発生しやすいのですが、

ミスタードーナツでは、需要予測の最適化(AIやPOSデータを活用した需要予測システムを導入し、店舗ごとの売れ行きに応じた生産調整を実施)や、短期間の限定販売(期間限定で需要を集中させ、売れ残りを減らす)などの食品ロス対策を講じることで、環境負荷の軽減だけでなく企業の収益性向上にもつなげているように見えます。

 

食品ロス削減が企業価値向上へつながるロジック

食品ロス削減は、ただの環境施策にとどまりません。

そのロジックを、ミスタードーナツの事例(もっちゅりんに限らず)を用いて、より網羅的に整理すると、こんな感じになります↓↓

 

直接コスト削減:廃棄処理費・原材料ロスが減り、営業利益率が改善します。例えば、高品質な素材を使用する生ドーナツの仕入れコストや廃棄処理費を抑制し、生産効率を高めることで直接的なコスト削減が実現します。

投下資本削減:需要予測や在庫管理の最適化により、生産過程での過剰在庫を防ぎ、資金効率が向上し、ROIC(投下資本利益率)が改善します。

売上の向上:限定販売の希少性が消費者の購買意欲を刺激し、売上の増加とブランド価値の向上を促します。さらに売れ残った商品の再加工(アップサイクル)による新たな収益源も創出可能です。

資本コスト低下:食品ロス削減の積極的な開示が環境意識の高い消費者や投資家からの支持を得て、ESGスコアの向上につながります。結果として資本コスト(WACC)の低下が期待できます。

企業価値(DCF価値)の向上:フリーキャッシュフローが増加し、資本コストが低下することで企業のDCF価値が向上します。具体的な数値を用いた事例として、年間5億円の廃棄費用を1億円に削減し、売上は2%増、営業利益率は1ポイント向上、ROICも2ポイント改善といった具体的な財務効果を挙げることができます。

おいしさとサステナビリティの両立を目指して

生ドーナツは、単なる嗜好品を超え、企業のESG経営を支える有望な素材となり得ます。ミスタードーナツの事例が示すように、食品ロス削減はコスト削減・投下資本圧縮・ブランド強化に寄与し、ROICやWACCといった財務KPIを通じて企業価値の向上に直結します。

企業の開示担当者さまとしては今後、「おいしさ=浪費」と見なされがちなカテゴリで、いかに“構造的なロス削減設計”を実現し、投資家が納得するかたちで財務ストーリーに織り込むことがますます重要になってくると存じます。

生ドーナツという「サステナブルスイーツ」の事例をヒントとして社内外への発信力と実行力を磨き、貴社のレピュテーションと資本市場での優位性を築く一助としていただければ幸いです。

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子

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