本日(2024年7月23日)開催される第12回 健康投資ワーキンググループ(経済産業省)の資料をながめていて、気が付きました。
今年度(令和6年度)調査から、健康経営銘柄2025/ホワイト500*1として認定されるためには、
「健康経営推進に関して、経営レベルの会議*2で議題にしている」ことが要件
となるのですね…
(現時点では会議資料ですので確定かどうかはわかりませんが、おそらくこのまま決まることでしょう…)
■ 変更後=今年度(令和6年度)の調査票(素案)*3より:
議題化についてはもともと調査票の項目に入っていたのですが、今年度の調査票では「議題」のこの内容がさらに具体化されるとともに、健康経営銘柄2025/ホワイト500の認定要件となるようです。
■ 変更前=前年度(令和5年度)の調査票*4より:
↓
■ 変更後=今年度(令和6年度)の調査票(素案)*3より:
さて。
「目指すべき姿*5」の実現に向けて、着々と手を打ち、その存在感を高めている(…といえば聞こえは良いですが、認定要件も質問項目も充実しすぎているようにも思われる)「健康経営」ですが、
サステナビリティレポートのなかで開示する際、ちょっと難しいなあと思うことがあります。
ご存じのように、健康経営では「積極的な情報発信を促進するため、平成28年度健康経営度調査から、情報開示を行っていることを健康経営銘柄の選定等のための必須要件*6」とされています。そしてその情報開示は、ウェブサイトやサステナビリティレポートで…となるわけですが、
特にサステナビリティレポートの場合、
健康経営を、どのようなタイトルでどこに載せるべきか?
で迷うことが多いのです。
広い意味では「人材」に入る内容ですが、ただでさえ「人材」に書くべき内容が増えているなかで、健康経営の話もするの?と考えると載せづらく。
内容的には「労働安全衛生」と近いからここに入れようか、となったとしても、労働安全衛生の枠には収まり切れなかったり、という現状があります。
企業さまの開示事例を見ると、最近では「労働安全衛生・健康経営」と併記されていたり、「EHS」の意味を少し拡大して、このなかに労働安全衛生も健康経営も入れていたり…といったケースがあるようです。
(皆さま、悩んでおられるご様子が伝わってきます)
冒頭で申し上げましたように、
今年度(令和6年度)調査からはおそらく、「健康経営推進に関して、経営レベルの会議で議題にしている」ことが健康経営銘柄2025/ホワイト500の認定要件になると思われます。
そのほかにも、今年度から大規模法人の調査では
なども問われることになります。
企業さまとして、これだけ重み(とご負担)が増している/増さざるを得ないのであれば、「健康経営」についてはそろそろ、サステナビリティレポートの中でも、独立した章として取り扱ったほうがよいのかもしれません。
(認定要件である)方針と体制について調査票で開示するのなら、「ガバナンス」についてはすでに書くことができます。「戦略」「リスク管理」「指標と目標」を書くには、やはり「戦略マップ」を作るところからスタートするのが良いのでしょうね…
今年度の施策に“「健康経営ガイドブック」と「健康投資管理会計ガイドライン」の改訂版を策定”との記載もありました*8 ので、このあたりも、もしかすると改訂内容に含まれてくるのかもしれません。
今後の動きを注意深く見守りつつ、新たにわかったことがあれば、またお知らせしたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
*1:健康経営優良法人の大規模法人部門のうち、上位500法人に冠される名称。詳細は、経済産業省ホームページ「健康経営優良法人認定制度」をご参照ください。
*2:取締役会や経営会議等のことを指しています。(出典:健康経営度調査票)
*3:出典は「令和6年度健康経営度調査票(素案)」
*4:出典は「令和5年度健康経営度調査票」
*5:健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG 事務局説明資料(今年度施策及び調査等の⽅向性について)などの資料に掲載されています(下記ご参照ください)。
*6:出典は平成29年3月 経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」
*7:PHRとは、健診情報やライフログデータ(⽇々の⽣活における健康に関するデータ)等の個⼈の健康医療情報のこと。(健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG 事務局説明資料(今年度施策及び調査等の⽅向性について)p16の定義より)
*8: 健康・医療新産業協議会第12回健康投資WG 事務局説明資料(今年度施策及び調査等の⽅向性について)p4より
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。