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球場は共創の実験場?──横浜DeNAベイスターズの「イニング間イベント」に見る、ステークホルダーとの関係づくり

ステークホルダー

長嶋茂雄氏のニュースとは関係なく、ただの偶然なのですが…*1

本日のブログはプロ野球の話題です。

 

先日、NHKでも特集されていたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、

横浜DeNAベイスターズが街をつなぐ取り組みとして掲げてきた「コミュニティボールパーク化構想」に基づくさまざまな取り組みには、サステナビリティのヒントにもなりそうなものが多くあります。

 

その中から今回は、私が先日、横浜スタジアムで実際に体感してきた「イニング間イベント」をご紹介します。

プロ野球の試合の合間に行われる、わずか数分の企画ですが、実は、そこには企業・地域・ファンが三位一体で“共創”する場づくりのヒントが詰まっていました。

 

たった数分で伝わる“共創”の構造──ベイスターズのイニング間イベントとは?

横浜DeNAベイスターズの2025年公式戦イニング間イベントには、次のようなものがあります。

■サガミ presents マスコットチャレンジ ←2025New!

マスコット達とファンクラブ会員による対決企画!ファンクラブチームが勝利したらいいことがあるかも!?どの試合で開催されるかはお楽しみに!

(出典:横浜DeNAベイスターズホームページ

スポンサーであるサガミは、イベントの冠スポンサーとして参加し、ブランドの認知向上を図ります。
スポンサー企業、球団、ファンがそれぞれの役割を持ち、共にイベントを盛り上げる企画です。

■ドリトス presents パラシュートタイム ←2025New!

スタンドにパラシュートがついたドリトスが降ってくる!?パラシュートを掴んで、ドリトスをゲットしよう!

(出典:横浜DeNAベイスターズホームページ

スポンサーであるジャパンフリトレーは、球場内での新メニュー「ドリトス ベイスターズナチョス」の販売も開始し、観戦体験をより豊かにしています。この取り組みは、スポンサー企業と球団が連携し、ファンとの新たな接点を創出する共創の一例です。

■届け大星援!MAKE SOME NOISE

スタンドからの大星援(だいせいえん)でチームの勝利を後押ししよう!
ファンの皆さまのHAMASTA VOLUMEを計測し、スタジアムビジョンに表示します!

(出典:横浜DeNAベイスターズホームページ

ファンの応援が可視化されるこの仕組み、実際、大変盛り上がっていました。ファンは自らの応援がチームに届くことを実感でき、球団との一体感が生まれます。このように、ファンの参加を促し、共に試合を盛り上げる仕組みが構築されています。

ーーー

ほかにも、オフィシャルパフォーマンスチームdianaとのリレー対決が楽しめる「Hisense ハマスタバトル」や「at home presents ダンスCONTEST」など、定番の人気イベントもあります。

どれも観客を楽しませるためのショートイベントですが、その裏では、スポンサー企業、球団運営、地元地域、そしてファンの参加が巧みにデザインされています。

ここで行われているのは、単なる広告や演出ではなく、“場を共有する関係者たちが、それぞれの役割で貢献しながら、一体感を生み出す”という、共創の構造そのものであると、私は感じました。

 

ステークホルダーが“場の主役”になる設計とは?

ベイスターズのイニング間イベントをよく見ると、各ステークホルダーの役割と貢献が明確に設計されていることがわかります。

 

  • スポンサー企業は、単なる広告枠ではなく、自社ブランドの特徴を生かした“遊び”を提供
  • 球団は、試合という本業の合間に“共創の余白”を設け、ファンとの接点を生む
  • ファンは、消費者にとどまらず、拍手・歓声・参加を通じて「イベントの一部」になる

 

 

この関係性は、サステナビリティの取り組みにおいても参考となるのではないでしょうか。

たとえば、

 

  • 地域の自治体と「開催者」ではなく「共同主催者」として向き合う
  • スポンサー企業と「支援者」ではなく「価値創出のパートナー」として協働する
  • 社員や顧客を「被教育者」ではなく「提案者・実践者」として捉える

 

共創とは、こうした“共有できる役割と誇り”をつくることである——そのことに、横浜DeNAベイスターズの公式戦イニング間イベントは改めて気づかせてくれました。

 

共創の場づくりが、サステナビリティ活動を変える

横浜DeNAベイスターズの公式戦イニング間イベントは、試合の勝敗とは別の軸で、“共につくることの楽しさと意味”を伝えています。

そこにあるのは、単なるパフォーマンスではなく、関係性のデザインです。

 

企業さまがサステナビリティ活動に取り組まれる上でも、こうした「関係性の場」をどうつくるかが問われます。

 

  • ステークホルダーと“同じ空間”で、“同じ目的”を、“それぞれの役割”で担う
  • そのプロセスに“喜び”や“達成感”がある

 

そんな場を、一度でも経験した人は、きっと、自分の役割に誇りを持ち、もう一度関わりたいと思うのではないでしょうか。

 

「共創をどう実現するか」という悩みに直面されたとき、ぜひこの小さなエンタメの場の事例を、ひとつの視点として思い出していただけたら幸いです。

 

 

本日もお読みいただき、ありがとうございました。

それではまた、次回のブログで。

 

執筆担当:川上 佳子


*1:実は、長嶋氏と横浜DeNAベイスターズ、まったく関係がないわけではありません。調べたところによれば、長嶋氏と大洋ホエールズ(現在の横浜DeNAベイスターズの前身)の間には、幻の監督就任話が存在したのだそうです(長嶋氏が巨人の監督を一度退いた後の1980年代前半、大洋ホエールズが長嶋氏の監督招請を検討していた時期があったのだとか)。

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