ただでさえ日々お忙しいサステナビリティ担当者さまにとって、大きなお悩みのひとつは「最新の情報入手」や「新分野を学ぶこと」ではないでしょうか。
申し上げるまでもなく、サステナビリティの業務は対象となる範囲が非常に広いのが特徴です。環境、社会、ガバナンス(ESG)の各領域(しかもそれぞれのカバー範囲が日々、広がりと深さを増しています)に加え、規制や基準、評価機関の動向まで常に最新の情報を追い続ける必要があります。
こうした多様なかつ専門的な情報を短時間で効率よく理解していくことが求めらるサステナビリティご担当者さまの苦労は、ひとかたならぬものがあると存じます。
今回は、そのような皆さまのために、「限られた時間でも専門書や最新資料の要点を素早く掴むことができる」効果的な7ステップをお伝えいたします。
まず「何のためにこの本を読むのか」を簡単に書き出しましょう。例えば「経営層への説明に使う要点だけ理解する」「ESG施策の裏付けとなるデータが欲しい」などです。目的がはっきりすると読むべき箇所が絞られます。
最初に以下のポイントをざっと眺めてみます。
①表紙や帯のコピー
②目次
③序文やあとがきの冒頭と末尾
これで本の概要や著者が伝えたいことが見えてきます。
目次や序文に出てくる太字、図表タイトルをノートや付箋に書き出しましょう。(目次や序文が簡略化されている場合は、各章の冒頭部分や見出し、章末のまとめや強調されているキーワードをノートや付箋に書き出しておくと良いです)
これで専門書が扱う「概念の骨格」が浮き彫りになります。
専門書の中で読むべき重要な部分はせいぜい2~3割です。なぜなら、ほとんどの専門書は幅広い読者に対応するために多くのトピックを網羅的に扱っているからです。実際には、自分が設定した目的に直結する章やセクションは限られていることが多く、そこを集中して読むことで、効率よく必要な情報を吸収でき、大幅に時間を節約できます。
この方法なら各章のポイントが自分の言葉で理解・定着できます。
読み終えたら、メモ用紙やアプリの1ページに「目的・キーワード・得られた結論・疑問点」を整理します。後日検索したり、共有したりする時にも役立ちます。
家族や職場の同僚など気軽に話せる相手に「最近こんな本を読んでね……」と軽く話題にしてみましょう。会話の中で、意外な気づきや理解のズレが見えてくるほか、思わぬ共通点を発見して発想が広がったり、応用力が高まったりするかもしれません。
難しい専門書を最短で理解するコツは「自分の関心や業務に惹きつけて理解すること」と「全てを読もうとしないこと」です。これらのポイントを意識することで、効率的かつ効果的に必要な情報を得られるのではないでしょうか。
ご自身の効率的な情報収集に、この「読み方」が少しでもご参考となれば幸いです。
ーーー
今週もお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。