「人的資本経営」と言われるけれど、具体的に何をすれば良いの?——そんな悩みをお持ちのIRやサステナビリティご担当者さまににとって、2025年7月22日は重要な日となりそうです。
なぜなら。
この日、「JPX日経インデックス人的資本100」の算出が始まるから。
「人的資本」上位100社の株価指数 日経とJPX総研、7月算出開始(日経電子版、2025年5月8日)
これはJPX日経インデックス400の中から人的資本の取り組みが特に優れた企業100社を選び、株価指数としてリアルタイムで評価・公表するというものです。
かつてJPX日経400が企業のROE向上を促したように、この新しい指数は企業の「人への投資」を促進する役割を担っています。具体的には、
①平均年間給与の成長率
②従業員1人当たりの営業利益成長率
③女性管理職比率
という3つの軸で評価されます。
指数入りすれば国内外の投資家の目にとまり、資金流入が期待できるだけでなく、企業の評価も一段と高まります。そのため、各企業は人的資本を単なるコストではなく、「投資」として捉え直す必要があります。
具体的には、以下のような影響が考えられます。
人的資本指数に連動した投資信託やETFが登場し、資金調達や株価パフォーマンスへの影響が出てきます。これはIR活動の中でも無視できない要素になるでしょう。
指数の構成銘柄は毎年8月に見直されます。「ランクインする/しない」が市場やメディアの注目を集めることで、同業他社との比較が鮮明になります。IRや経営企画の担当者は、自社の人的資本KPIを明確に提示できるよう準備が必要です。
投資家との対話では、人的資本の具体的な取り組み(例えば賃金の伸びや女性管理職比率の目標達成度)が必ず問われるようになるでしょう。財務面と人的資本面がどのように結びついているかを、一貫したストーリーで語ることが求められます。
取り組むべきことは、御社の状況によって少し異なります。
人的資本100に直接入れる可能性があります。すぐに「人的資本スコア」を具体的に試算し、どこに強みや弱みがあるかを分析しましょう。今年度の採用が難しくても、来年度以降を目指してKPIを設定することが効果的です。
直接的に人的資本100には採用されませんが、「人的資本経営」への市場の注目度が高まるため、投資家やステークホルダーから開示を求められる可能性があります。自社の人的資本に関する現状を整理し、簡単なデータや図表で伝える準備を進めましょう。これは将来的に400入り、さらに人的資本100を目指すための第一歩にもなります。
「いざ取り組もうと思っても、どこから始めれば良いか…」「そもそも人的資本のデータがない…」と、不安を感じる方も多いと思います。まずは完璧を目指さず、以下のような小さなステップから始めてみませんか?
一人で抱え込まなくても大丈夫です。周囲を巻き込み、小さなステップから進めていきましょう。「どう始めたらいい?」と悩んだら、ぜひお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回のブログもどうぞお楽しみに。
執筆担当:川上 佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。