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分散型でつなぐ、持続可能な社会──YAMAPに学ぶレジリエンスのヒント【GWおすすめ特別編】

DX / ガバナンス / リスクマネジメント / 統合報告書

GWのおすすめ特別編、今回は「山」へ

今週の当ブログ、ここまでの2回は、映画や美術展、近場の商業施設散策など、【GWおすすめ】として近場を中心にお出かけプラン(と、これにまつわるサステナビリティやIRのヒント)をご紹介してきました。

今回は、番外編として少し遠出となる「登山」にまつわる話題をお届けします。

 

ゴールデンウィークは、登山やハイキングに出かける方も多いシーズンです。

 

登山は愛好家の多い趣味ですが、

登山者の帰りを待つご家族にとっては、やはり安否が気がかりなもの。

 

このニーズに応えたのが、国内最大級の登山地図GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」です。

そして、このYAMAPが提供する「みまもり機能」は、実はサステナビリティや企業経営の分野でも注目される「分散型」という発想を学ぶ格好の素材でもあります。

 

YAMAP「みまもり機能」に見る、分散型レジリエンスのかたち

YAMAPの「みまもり機能」は、まさにこの分散型発想を体現しています。

 

  • 山の中ですれ違った登山者どうしが、Bluetooth通信で位置情報を交換
  • 電波の届かない場所でも、誰かの情報を預かり、また次へと手渡していく
  • 誰かがオンライン(電波圏内)に出た瞬間、まとめて情報がサーバーに送信される

 

という形で、登山者の位置情報がご家族等に送信されます。

 

つまり、管理者なしで、自然と安全網が広がっていく。

中央に頼らずとも、個と個のつながりがネットワークを形成し、結果的に大きな力へと育っていく。

この仕組みは、単なる便利な機能にとどまりません。

分散型レジリエンスという、未来を切りひらくための重要な発想を象徴しているのです。

 

なぜ今「分散型」なのか
——中央集権型の限界とレジリエンスの新たな形

これまで、社会の安心・安全は、大きな組織や中央の管理によって支えられてきました。
警察、自治体、通信インフラなど、「中央の力」が社会基盤を形成していたのです。

 

もちろん、今もこの構造がすべて崩れたわけではありません。
しかし、地震、パンデミック、サイバー攻撃など、現代社会が直面するリスクは、
中央集権型モデルの脆弱さを浮き彫りにしつつあります。

 

そんな中で注目されているのが、「分散型ネットワーク」という考え方です。

小さな個人や拠点がゆるやかにつながり合い、中央に依存せずとも、全体としてしなやかに機能する仕組み。
それが、次の時代のレジリエンス(しなやかな強さ)を支えるカギになると考えられているのです。

 

サステナビリティと経営で広がる「分散型」の潮流

実際に、サステナビリティや経営の分野でも、「分散型」の考え方はさまざまな形で広がり始めています。

たとえば──

 

  • エネルギーの分野では、大規模発電所に依存しない「分散型エネルギーシステム(DER)」が拡大中。太陽光や風力といった再生可能エネルギーを地域で生み出し、地域で使う仕組みが、持続可能な社会づくりに貢献しています。
  • 働き方の領域でも、リモートワークやサテライトオフィスなど、中央オフィスに依存しない「分散型ワークモデル」が定着してきました。
  • 地域づくりでは、環境省が提唱する「地域循環共生圏」の考え方が広がり、地域内で資源・エネルギーを循環させる取り組みが進んでいます。
  • サプライチェーン戦略でも、特定国・拠点依存のリスクを避けるため、調達先を多元化し、柔軟なサプライチェーンを築く動きが加速しています。
  • 金融の世界では、中央機関を介さずに取引を行う「分散型金融(DeFi)」の仕組みが、新たな経済モデルを模索し始めています。

 

分野は違っても、共通しているのは──

「単一の中央に頼らず、小さなつながりを活かして全体を支える」という発想

です。

この潮流は、これからのサステナビリティやレジリエンスを考えるうえで、欠かせないものになりつつあります。

 

小さな「すれ違い」が、大きな未来を育む力に

すれ違い、手渡し、つながっていく。
目に見えない連鎖が、やがて大きな力になる。

「分散型」という発想を理解することは、
持続可能な未来を築くための、とても大きなヒントになるはずです。

このゴールデンウィーク、自然のなかに身を置く方も、街で過ごす方も。
小さなつながりが生む未来の可能性に、ぜひ思いをはせてみてください。

 

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

 

執筆担当:川上 佳子


参考|YAMAPの基本情報

国内最大級の登山地図GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」は、累計470万以上のダウンロード数を誇るアプリです。
日本の登山人口が約600万〜700万人といわれる中、その存在感は非常に大きなものになっています。

YAMAPは、オフライン地図の利用や、登山者どうしのすれ違い通信機能(Bluetooth)など、安全面を強化する機能を特徴としています。
また、サブスクリプションビジネス大賞2022で最高位グランプリを受賞するなど、ビジネス面でも高く評価されています。

(出典:「登山アプリのヤマップ、ユーザーニーズ分析でファン魅了」日経電子版、2023年7月5日)

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