ゴールデンウィーク——とは言いつつも、
今週は「暦どおり」でお仕事という方も、きっと多いはず。
また、
・新年度が始まったばかり
・決算発表前
といった事情でお仕事が忙しく、あまり遠くへ外出できない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本日は、これからの百貨店・流通モデルを考えるうえで「未来のヒント」になりそうな近場のスポットとして、浦和パルコ をご紹介します。
浦和パルコは、一見すると普通の「駅前商業施設」に見えます。
ですが実は、過去数年間にわたり、
・インバウンド需要に頼らず
・地元の消費者をしっかりと捉えて
着実に成長してきた、特筆すべき商業施設です。
しかも単なる売り場ではなく、「街づくり」を意識した空間設計が随所に盛り込まれているのが特徴です。
流通業や小売業の現場を観察することは、IR担当者やサステナビリティ担当者にとっても重要な意味を持ちます。
なぜなら、企業が生活者とどうつながり、どんな新しい価値を提供しようとしているか──そのリアルな最前線が、商業施設や流通の現場に現れているからです。
流通モデルの進化は、単なる売上だけでなく、社会との新しい関わり方や持続可能なビジネスモデルをどう構築していくかを考えるうえで、大きなヒントになります。
今、百貨店業界では、インバウンドと株高による資産効果という「追い風」の恩恵が徐々に剥がれ落ちつつあります。
これからは、コロナ禍を経て積み上げてきた「構造改革」が本当に実を結ぶのか──その真価が問われる、試練のフェーズに突入していきます。
だからこそ、どこに、どんなヒントが潜んでいるか。現場を歩き、肌で感じ取ることが、ますます重要になってきているのです。
今年のゴールデンウィークは、そんな視点を持って、浦和パルコを少し違った目線で観察してみませんか?
以下に、おすすめの「未来観察ポイント」を2つご紹介します。
浦和パルコでは、20代、30〜40代、50代以上がほぼ均等な利用客層になっているのが大きな特徴です。
特定の世代に偏らず、すべての世代に訴求するために意識されているのが、「日常」と「先端」の絶妙な組み合わせ。
地下には食品スーパー、上層階には無印良品や家電量販店といった生活必需型のテナントを配置しつつ、
サラダ専門店やビンテージ古着、レコードショップといった尖ったライフスタイル提案型のショップも取り入れています。
「地元での買い物」という安心感と、「新しい発見」というワクワク感。
この両方をバランスよく提供することで、幅広い年齢層を惹きつけている様子を、ぜひ現地で体感してみてください。
浦和パルコでは、年間130店以上ものポップアップショップを導入しているとのこと。
(月に10件以上の新しい試みが行われている計算になります)
期間限定ショップが、どんなテーマや世界観で売り場演出をしているのか。
リピーターを生み出す工夫、来店意欲を高める仕掛けに注目してみてください。
また、ピラティススタジオやシミュレーションゴルフといった体験型コンテンツも随所に配置されています。
「体験」と「買い物」がどう自然に動線設計されているかを見ることも、今後の郊外消費や体験型消費のヒントになるのではないでしょうか。
遠くへ出かけるのも素敵ですが、
今年のゴールデンウィークは、近場で未来の流通モデルを体感するフィールドワーク、そんな過ごし方もおすすめです。
「日常」と「先端」をどう組み合わせるか
全世代に向けた空間設計とは何か
買い物+体験+生活支援をどうデザインするか
これらをリアルに感じられる場所が、すぐそこにあります。
企業のIR担当者やサステナビリティ担当者のみなさんにとっても、
これからの生活者との新しいつながり方を考えるヒントがきっと得られるはずです。
ちょっとした気づきが、次のレポートや提案書に活きるかもしれません。
ぜひ気軽な気持ちで、未来を探しに出かけてみてくださいね。
ーーー
次回は、登山好きの方にはおなじみの「YAMAP」アプリを題材に、分散型レジリエンスという新しい視点について考察するブログをお届けします。
次回も、日常のすぐそばに潜んでいる「未来のヒント」を、みなさんと一緒に探していきましょう。
どうぞお楽しみに!
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上 佳子
浦和パルコについては、最近の日経でも多く取り上げられています。
以下に記事のリストを掲載いたします。
(出典はすべて日経電子版)
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。