価値創造ストーリー / 勉強用(初学者様向け) / 統合報告書 / 開示媒体
2025年4月7日、日経平均株価は約1年5か月ぶりの安値を付けました。前週末比の下げ幅も歴代3番目の大きさとなっています。4月8日の相場は4日ぶりに反発したものの、先行きは不透明。
「トランプ米政権の関税政策による企業業績への影響範囲はなお見えない*1」という中、開示担当者さまも気が気ではない日々をお過ごしではと存じます。
ちょうど今年の統合報告書の企画を始めたばかりだったり、企画は固まって原稿を書き始めたばかりだったりという企業担当者さまの中には、「企画、どうするべき?」「何を書くべき?」と迷っておられる方がおられるかもしれません。
中には、「そもそも、統合報告書を出しているような場合なの?」と困っておられる方もいらっしゃるのでは…!と気になりましたので、本日のブログではそんな方々へのメッセージをお伝えさせてください。
大暴落という「外的ショック」の時こそ、企業の長期価値創造力や耐性を示す好機です。
思い出してください。
統合報告書は「好調な時に自慢話をするための冊子」ではありません。
「不確実性の時代に信頼を得るコミュニケーションツール」です。
だからこそ、「今、何を書くか」は、企業としての成熟度を測る試金石にもなります。
まずはこのことを心に刻んで、ゆっくりと深呼吸なさってください。
では次に、「具体的に何をどう書けば」につながるヒントを3点ほどお伝えさせてください。
注)
中長期を語るのが統合報告書だからといって、短期をおろそかにしていいという意味ではありません。冷静で的確な「現状分析」があるからこそ、その先の未来を語る言葉が信頼されます。
ROEやROICなどの資本効率を示す数値が一時的に落ち込む——3月で終わった期の数値には影響が少なかったとしても、4月からの新年度以降の見通しは落ち込む場合も含みます——企業様も、多いかと存じます。
こうした場合、「短期の落ち込みを織り込んだうえで、中長期でどう立て直すのか」の資本配分の考え方を示すことが重要です。業種によっては、手元資金やネットキャッシュの厚みを示すなどして、資本の耐性(レジリエンス)を示すことも信頼につながるでしょう。
特にCFOメッセージでは、キャッシュフローの柔軟性やリスクに備えた資本政策をしっかり語っていただくことが効果的です。
今回の関税問題は、まさに「外部からのストレス」。
これは「サステナビリティ戦略が通用するかどうかを試される場」として、レジリエンス・アジリティの文脈で語ることも可能です。サステナビリティへの対応力が中長期の競争力につながることを、より明確に語る好機になるかもしれません。
「こんな時期」のCEOメッセージの語り方やCFOメッセージで説明すべき内容、統合報告書の構成変更など、ご心配なことがありましたらお気軽にお問い合わせください。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上佳子
*1 出典:日経電子版『日経平均1894円高 「PBR1.15倍」岩盤説にすがる投資家』(2025年4月8日)
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。