2月10日には消費者庁の食品衛生基準審議会が、ミネラルウォーターに含まれるPFASについて食品衛生法案に基づく成分規格を設け、基準値を設定する方針を了承しました。
殺菌・除菌処理されたミネラルウォーターについては、水道水と同じ基準値(=PFASの代表的な物質である「PFOS」「PFOA」の基準値を1リットル当たり50ナノグラム)以下とするとのことです。
今後はパブリックコメントで意見を募り、規格基準を設定し、来年(2026年)4月からの施行を目指すことになるそうです。
2月20日には、フランスの国会がPFAS規制法案を可決しています(2026年から施行)。
化粧品、衣類繊維、スキーワックスの3種の製品についてPFASの使用禁止を定め、汚染者負担の原則では、手始めに2026年からPFASを製造する化学メーカーが対象になるとのことです。
なお、この法案では飲料水(ペットボトル入りを含む)に含まれるPFASの監視も義務付けられるとのことです。
さて。こうした環境下、日本でミネラルウォーターを製造販売している飲料メーカーさんは、PFASについてサステナビリティレポートやサステナビリティサイトに開示しておられるのでしょうか?
気になったので、ちょっと調べてみました。
・PFASに関する開示:あり
・サステナビリティレポートやサステナビリティサイトへの掲載:見つけられませんでした
(お客様相談室「よくあるご質問」に掲載あり)
・開示内容:
キリンビバレッジのミネラルウォーターを製造している工場で使用する水について、定期的にPFOS、PFOAの検査を行っており、水道法で定められた水道水の水質管理目標設定項目の暫定目標値(PFOSとPFOAの合計が50ng/L)以下であることを確認しています。
キリングループでは、安全で安心な商品をお客様にお届けするため、原材料から製造・流通・販売にいたる品質保証体制の強化に取り組んでいます。 今後も引き続き、キリングループが使用する原材料や水などへの影響が懸念される場合は、内容確認のうえ、適切に対応してまいります。
・PFASに関する開示:アサヒ飲料のサイトにあり
・サステナビリティレポートやサステナビリティサイトへの掲載:見つけられませんでした
・開示内容:
PFAS分析体制
「アサヒ おいしい水 天然水」ブランドの全商品において、有機フッ素化合物(PFAS)の検査を行っております。
外部専門機関で定期的に分析を実施しており、水道法の水質管理目標設定項目の暫定目標値(PFOS・PFOAの和が50ng/L以下)の1/10以下であることを確認しています。
・PFASに関する開示:あり
・サステナビリティサイトへの掲載:見つけられませんでした
(「企業情報」ページに掲載。詳細はブランドページへ)
・開示内容:
PFASに対する取り組みについて
サントリーではお客様にご安心いただくために、サントリーの天然水を採水地毎に年1回自社で分析しています。
詳しくはサントリー天然水ブランドサイトの「安全・安心な水のために」ページを参照ください。また、サントリーが国内で製造する全ての飲料・酒類製品の中味に使用する水を 年1回自社で分析しています。
日本の水道水の水質管理目標値(PFOA、PFOSの合算 50 ng/L)を下回っていることを確認しています。2024年12月16日
サントリーホールディングス株式会社
結果は3社とも「サステナビリティレポート等での開示なし」となっていました。
ただ、サントリーホールディングスさんが「2024年12月16日付」で会社情報サイトに掲載されていることを見ると、これから開示がされていくことになるのかも…とも考えられます。
引き続き注目していきたいと思います。
それではまた、次回のブログで。
執筆担当:川上佳子
代表取締役 福島 隆史
公認会計士。2008年、SusTBを設立。企業の自主的かつ健全な情報開示をサポート。
川上 佳子
中小企業診断士。銀行、シンクタンク勤務を経て2002年より上場企業の情報開示を支援。